規程の分割

一部分を別規程とすることの是非

これまで就業規則については、賃金、退職手当等一部の規程のみ別立てとすることができましたが、労使関係の多様化に伴い就業規則において規律する内容も複雑化していることから、この制限は廃止され、すべての項目について別規程とすることが可能となりました。

例えば、育児休業規則、介護休業規則、労働時間規則などを別規程とすることが想定されます。


パートの就業規則

また、就業規則は通常の労働者だけでなく、パートタイマーなどにも適用されます。

通常の労働者の就業規則がパートタイマーなどに適用できない事情があれば、就業規則に特別条項を設けるか、パートタイマーなどの専用の就業規則を作成することになります。

いずれにしても、就業規則の適用されない労働者が存在することは、認められません。

就業規則は、当該事業所の労働者の労働・生活を規律する強大な力を持っています。

賃金・労働時間などの労働条件は、労働者と使用者との個別的労働契約で決めるとされているものの、実際は使用者が定める就業規則によって統一的に設定されます。

また、労働者が就業において遵守すべき事項も同様です。

このように重要な就業規則については、労働者保護のために種々の法規制が行われています。

以下のようなものが挙げられます。

(1) その作成過程に労働者の意見を反映させること(労働基準法90条)
(2) 労働者の権利・義務を明確にするため、それらを成文化させ労働者に周知すること(労働基準法106条)
(3) 規則の内容について一定の限界を設定し、この限界が遵守されるよう行政的な監督を実施すること、監督を実施するために監督官庁に届け出ること(労働基準法89条)

就業規則の改定は遡及適用されるか

一般に就業規則には不遡及の原則が適用されます。

ただし、労働者に有利な条項は遡及して適用しても差し支えありません。

北群馬信用金庫事件 前橋地裁 昭和57.12.16

就業規則の変更により新設された懲戒事由についての規定を過去の行為に適用して懲戒解雇をすることはできない。


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