賃金との相殺

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賃金との相殺


会社からの一方的相殺はできない

労働基準法第16条は、損害賠償を予定した雇用契約を結ぶことを禁止しています。

判例も、損害賠償の控除を禁止しています。

関西精機事件 最高裁 昭和31.11.2

使用者が労働者の債務不履行(業務の懈怠)を理由とする損害賠償権を自働債権として労働者の賃金債権との相殺を行った。

最高裁は、賃金債権に対しては損害賠償債権をもって相殺をすることも許されないとした。


日本勧業経済会事件 最高裁 昭和36.5.31

使用者が労働者の不法行為(背任)を理由とする損害賠償債権を自働債権として賃金との相殺を行った。

最高裁は相殺は禁止されるとした。

最高裁は、生活の基盤たる賃金を労働者に確実に受領させることが賃金全額払原則の趣旨であるから、同原則は、相殺禁止の趣旨をも包含すると判示しています。


合意による相殺

使用者が労働者の同意を得て行う相殺については、労働者の自由な意思に基づいてなされたものであると認められるに足りる合理的理由が客観的に存在する場合には、全額払の原則には反しないとされています(日新製鋼事件 最高裁 平成2.11.16)。

ただし、労働者の合意があったとしても、それが懲戒解雇の通告直後で、損害賠償について十分検討する間もなくされてしまったような場合には、「真に」自由な意思によっているとはいえないとされる可能性があります。

労働者が自己の損害賠償権と賃金とを十分検討するだけの資料や時間を与えることが肝要だといえます。


過失相殺

損害賠償の請求金額については、過失による場合は、従業員教育の不徹底や業務の性質、会社の管理不足等の考慮が必要であり、過失相殺・損害の公平な分担の原則などから減額されることが多くあります。


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