出向から転籍へ

在籍出向先で退職になる場合に

退職後の失業給付の給付金を算定するにあたって、その基礎計算に使われる給料は、退職までの6ヶ月間に受け取っている給料総額となります。

離職票は、主たる給料を支払った事業所が給料を記載しますが、出向元と出向先とで給料を案分している場合は、その合計金額が基礎額として使用されます。

雇用保険料の納入に際して、きちんと全額が申告されていないと、失業給付の積算で不利になる場合が生じます。

出向者の退職金

退職に合意する前には、このような問題が起こらないようにするため、細部まで詰めておく必要があります。

アイ・ビイ・アイ事件 東京地裁 平成2.10.26

退職した出向労働者の退職金支給義務は、出向元にある。

佐鳥オートマチックス事件 東京地決  昭和50.9.10

出向先から退職金が支給されないときは、出向契約にもとづき出向期間を含めて出向元が支払わねばならない。

出向者の定年制

長谷川工機事件 大阪地決  昭和60.9.10

出向者の定年については出向元の定年制が適用されるが、移籍後の定年制適用は無効。


 

同意しない旨を明確にする

「出向から数年後に転籍させる」ことを前提として出向命令が出されることがあります。

転籍には労働者の同意が必要ですから、使用者が一方的に「転籍させる」ことは不可能です。


出向先に退職の意思表示をすれば、退職できるか

後日もめごとにならないためには、きちんとした対応が必要。

マップ・インターナショナル事件 東京地裁 平成16.7.12

出向先の海外支店に赴任(本人希望による)したが、3ヶ月後退職の意思表示をし、そのまま帰国。無断欠勤を理由として懲戒解雇された。

裁判所は、懲戒解雇は権利濫用として、退職金72万円の支払いを命じた(訴訟費用は折半)。

なお、本人請求による損害賠償及び謝罪文の掲示は、原告の気まぐれな行為により会社にも損害があるとして、棄却。


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