海外への出張・転勤

通常の業務命令とは異なることに留意

海外出張は、国内の場合とは違って、労務提供の場所の環境が著しく変化します。

したがって、国内の転勤ないし長期出張を定めた就業規則があったとしても、その規定では代用できないと考えられます。

ただし、外資系の企業等で日常的に海外出張が頻繁に行われている場合などでは、労働契約に基づく出張を命じる権利が使用者にあるともいえます。

いずれにせよ必ず、労働契約締結時に労働者から誓約書を取るか、就業規則に海外出張命令の権限に関する規定を定めておかなくてはなりません。


政情不安・治安不安な地域への出張拒否

労働者は使用者の業務命令といえども、正当な理由があればそれを拒否することができます。

裁判でも、危険区域への出張命令拒否をやむを得ないと判断しています。(全電通千代田丸事件 最高裁 昭和43.12.24)

使用者としては、単に就業規則に海外出張の規定があるというだけで、治安に不安がある地域への業務命令を発するのは難しいと考えるべきです。

もちろん、万一のときの保障制度についても確立しておく必要があります。


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