外国人と健康保険・年金

健康保険と年金の取扱い

健康保険厚生年金保険は、適用事業所にあっては事業主や従業員の意思に関係なく必ず加入しなければならない保険です。

健康保険・年金保険は、就労資格があり、適用事業所で常時雇用される外国人労働者は、日本人と同様に必ず加入することになっています(任意加入ではありません)。

パートなどでも所定労働時間、所定労働日数が同種の業務に従事する者の3/4以上であることが条件となります。

保険料は事業主と労働者と折半で負担します。

しかし、現実にこれらの保険に入っている外国人労働者は、少ないのが実情です。

不法就労の外国人を雇用しているとすれば、事業主は不法就労助長罪になるわけですから、その存在を認めるわけにはいかず、結果として健康保険・厚生年金といった社会保険の手続きが行われません。

また、健康保険は、年金とセットで加入しなければなりませんが、永住を決意した場合を除き、外国人にとって年金加入のメリットが認めにくいこともあります。

厚生年金の「脱退一時金」制度が平成7年に創設されましたが、外国人にとっては事実上掛け捨てと考える向きがあるためです。

なお、25年の支払い要件を満たせば、受給の時点で国外にいても年金を受けることは可能です(送金してもらえます)。


オーバースティと健康保険

現状では、オーバーステイの外国人が日本の公的保険である国民健康保険と健康保険(いわゆる社会保険のこと。以下、「健康保険」)に加入することはかなり困難です。

国民健康保険は、外国人登録をすませ、1年以上日本に滞在すると認められる外国人(入国当初認められた在留期間が1年未満であっても、何らかの書類により1年以上滞在すると認められる外国人を含む)に加入が許されており、オーバーステイの外国人はほとんどの場合加入できません。

また、健康保険の加入条件は、基本的に日本人のそれとほぼ変わりませんが、本来日本での労働が許されるのは、就労可能な在留資格を持つ外国人です。

※ただし、健康保険に加入する際、在留資格を問われないので、結果として加入しているオーバーステイの外国人はいると思われます。

つまり、在留特別許可を申請中で無職の場合、対象となる公的保険は国民健康保険となりますが、在留特別許可が認められて在留資格が取得できるまでは、加入できないということになります。

よって、それまでの医療費は、行旅病人及び行旅死亡人取扱法を利用するか、対象とならない場合は、分割での支払いを医療機関にお願いするなどして地道に支払っていくしかないのです。

どうしても払えない場合は、未払い医療補填制度が適用できないか検討します。

また、日本人の子を持つ親の場合などでは、生活保護の準用が考えられます。


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