解雇撤回

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解雇の撤回


解雇は撤回しない

労働者の立場からすると、解雇通告を受けた場合、「もうその職場に残りたいという気持ちは皆無だが、違法な解雇により受けた損害の補償を求めたい」というケースはかなり多いようです。

労働者からの損害賠償請求は可能ですが、労働者の満足を得られるような金銭的な補償を得けられる可能性は非常に少ないのが現状です。

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交渉でプラスアルファ(生活補償)を獲得するしかないのが実情で、この場合、労働者が自主交渉で要求していくか、合同労組(ユニオン)などの力を借りて交渉してくることになります。

金銭解決が一般的

(普通解雇の例)

解雇事件に携わった実態として、金銭解決による和解が大半だという厳然たる事実があります。

なぜなら、解雇を通告したということで、双方の信頼関係が既に崩れており、訴訟ともなれば一種の非難合戦となるため、訴訟を経ると、さらに修復が難しくなり、相互不信が増幅してきます。

こういう状況で、もとに戻って円満に就労するというのは、お互いに困難です。

ですから、金銭による和解が一般的な解決方法となってきます。


労働者側は職場復帰を掲げて交渉してくる

職場復帰の意思などなくても、労働者側が有利な交渉を進めるため、労働組合などを通じて「不当解雇は認めない。職場に戻せ」というような対応をしてくることが多いようです。

きちんとした解雇の手順を踏んでいるのであれば、解雇は撤回すべきではないでしょう。

本当に職場復帰が目的であったとしても、会社にとって長い目で見てどちらが有利かを考える必要があります。


解雇予告手当退職金を支払った場合

解雇された労働者が異議なく退職金を受領して他に就職し、かつ長期間解雇の効力を争わなかった場合など諸般の事情から当該解雇を承認したものと認められる場合には、当該労働者は信義則上解雇が無効であることを主張しえなくなるとされています (八幡製鉄解雇事件 最高裁 昭和36.4.27、三井鉱山美唄鉱業所整理退職事件 札幌地裁 昭和46.3.31)。

解雇後長期間を経過したのちの解雇無効確認の訴え提起については、長期間経過後の訴えの提起は信義則上許されないとされており、「長期間」については(2年数ヶ月後でも無効を主張しえないとされたり、自主交渉などで期間が経過したときなど8年経過後でも主張できるとされているように)ケースバイケースで判断されているようです。

三井炭鉱事件 札幌地裁 昭和46.3.31

解雇の意思表示を受けた労働者が企業内で特別に認められた手続きでその効力を争い、それが容れられないことが確定した直後頃、雇用関係の終了を前提として支給される退職金、予告手当等をいずれもその金員の性質を承知した上で受領した場合、右労働者は、その解雇の効力を承知した上で受領した場合には、その解雇の効力を承認し、今後右効力を争わない意思を使用者に対して表明したものと認めるべきである。


解雇撤回後の賃金請求

長期にわたる紛争の後、会社の解雇決定が不当だということが証明された場合、労働者はこの間の賃金相当分を請求することになります。

この際、請求額の考え方としては、次の二つの考え方があります。

  1. その間の賃金額の全額
  2. 解雇決定から職場復帰までを「使用者の責めに帰すべき事由による休業期間」と見なして、平均賃金の60%

ただし、この間にアルバイト等により収入を得ていた場合は、それを差し引いた差額が支払われることになります。

休業補償の立場に立てば、使用者が支払うのは平均賃金の60%で足りるということになりますので、この間労働者がアルバイトをして平均賃金の40%を超える収入を得ていたとすると、この40%を超える部分が、使用者は支払金額から控除できることになります。

なお、賃金請求以外の「慰謝料」については、判例では認められないことが多いようです。

カテリーナビルディング事件 東京地裁 平成15.7.7

裁判所は慰謝料請求については棄却した。

一般に、解雇された労働者が被る精神的苦痛は、解雇期間中の賃金が支払われることにより慰謝されるというべきである。

本件においては、本件各解雇が無効であるとしたうえで、労働契約上の地位確認及び本判決確定日までの賃金の支払を命ずる以上、本件各解雇による原告の精神的損害はてん補されると解される。

これをもってもなお償えない特段の精神的苦痛を生じた事実を認めるに足りる証拠はない。


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