協調性の不足と配置転換

職場規律維持のための配転

協調性がなく同僚とのトラブルを繰り返すことは、労務の円滑な提供の阻害となりますから、債務不履行として普通解雇理由となりえます。

しかしながら、単に「協調性不足」を理由とした場合、その解雇が権利濫用として無効となる恐れも否定できません。

したがって、その協調性不足を注意指導することと平行して、職場環境を変える意味での配転も必要だとされています。

この場合、協調性不足により転勤するという理由を明らかにしたうえで、それが是正されない場合、解雇の可能性もあることを説明しておくべきだといえます。

共栄火災損害調査事件 秋田地裁 平成5.5.17

秋田市内から東京への転勤命令。

労働者は、「専門用語を多用し、一方的に話をするため分かりにくい」「連絡がないまま事件の処理が遅滞している」他、言葉使いなどで接客態度が悪いという苦情があった。隣接する地域でも配置困難と判断され、東京への配転命令が出された。

協調性不足という労働者の責に帰すべき事由による転勤は、ある意味では労働者の雇用確保を図る措置とも考えられ、理論的に別の人選の余地はなく、私生活上の不利益を理由に拒否することはできないとされた。

ダイエー事件 福岡地裁 昭和50.12.5

上司と感情的に対立し、職場内に不明朗な雰囲気を惹起させしめた社員に対する福岡から大阪本社への配転につき、会社が各職場の人的調和を企図するのは当然であり、そのための配転も人事権の濫用にはあたらないとされた。


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