公職就任による休職

不利益を受ける可能性は否定できない

最高裁は十和田観光電鉄事件(昭和38.6.21)において、「公職に就任することが会社業務の遂行を著しく阻害する虞れのある場合においても、普通解雇に付するは格別・・・従業員を懲戒解雇に付することは許されない」としています。

このことを別の角度から見れば、普通解雇は許されると解することができる、ということになります。

労働契約上の義務を果たせなくなった場合、阻害の程度において休職や解雇を行うことも、ありえることになります。

関連事項:解雇理由

大阪地労委(日本貨物鉄道)事件 大阪高裁 平成11.4.8

労働委員会の審問において証人として出頭することは、申立人であるか否かを問わず、公的機関である労働委員会から命ぜられた労基法7条の「公の職務行為」に当たるとされた。

森下製薬事件 大津地裁 昭和58.7.18

町会議員就任が就業規則、労働協約所定の特別休職事由にあたるとして特別休職処分に付され、本社への配転命令を受けた従業員が、年間の議員活動が長期間ではないことを理由に、右処分は労働基準法7条等に違反し無効であるとして訴えた。

判決:労働者側敗訴

公務に就任したことで、長期にわたって継続的または断続的に職務を離れることになり、労働契約上の債務の本旨に従った履行が期待できない。

年間40日を議会活動に費やす町議会議員に就任したことを理由とする研究所勤務から人事部付けとした配置転換についても、権利の濫用にはあたらない。


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