出向問題と労働組合
出向先にも出向元労働組合との団体交渉義務がある
出向先は部分的使用者としての責任があり、出向者の職場環境問題等について、独自に出向"元"労働組合との団体交渉に応じる義務があるとされています。(朝日放送事件 最高裁 平成7.2.28)
出向先にユニオンショップ協定がある場合
出向者が出向元労働組合に所属していれば、このユニオンショップ条項の適用を受けませんが、非組合員の場合、その適用を受けることになります。
したがって、相当期間内に出向先組合に加入しないならば、出向先は出向契約を解約し、この労働者を出向元に戻さなければなりません。
この場合、出向元は出向先での組合不加入を理由に出向者を解雇することはできません。
このことを避けるためには、出向先企業は出向先労働組合とのユニオンショップ条項において、出向受入者を除外する規定を設けておく必要があります。
出向元でのチェックオフ協定
チェックオフ協定は、出向元企業の出向元労働組合に対する義務ですから、賃金の支払いが出向先になったからといって当然に出向先がチェックオフの義務を負担すると判断するには、無理があります。
出向元は出向先とチェックオフ義務の債務引受について、事前に合意する必要があります。
出向元でストライキがあった場合
在籍出向者はあくまでも出向元の労働組合員ですから、ストライキに参加する権利を有しています。
また、出向元労働組合は、出向先に対し、出向者の就労場所の環境問題等について団体交渉権を持っているので、それに関連したストライキを実施することができると考えられます。
これを回避するためには、争議行為に関しても、労働協約の争議条項で出向者を除外する規定を設けておく必要があります。