有期契約が反復更新された場合の退職
更新状況で、期間の定めがないとみなされる
期間の定めのある契約でも、長年にわたって反復更新されてきた場合、事実上期間の定めのない契約と同等とみなされる場合があります。
なお、通算5年を超えたときは、労働者からの申し込みにより、期間の定めのない労働契約に転換されることになりました。
期間の定めのない契約と実質的に同様と認めた判例
東芝柳町工場事件 最高裁 昭和49.7.22
契約更新回数が5回ないし23回にわたっていたこと、会社は必ずしも契約期間満了の都度、ただちに新契約締結の手続をとっていたわけではないこと、臨時工の数は増加の一途をたどり、期間満了によって雇止めされた事例はないこと、臨時工の従事する仕事の種類・内容の点において本工と差違がないこと、会社側に長期継続雇用、本工への登用を期待させる言動があったことなどの事実関係に着目して、「期間の定めのない契約と実質的に異ならない」と判断している。
他にも同様の判例として、以下のようなものがあります。
- 旭硝子船橋工場事件 東京高裁 昭和58.9.20
- 北海丸善運輸事件 大阪地裁 平成2.8.23
- 国鉄大阪工事局事件 大阪高裁 平成3.10.11
- 中部交通事件 名古屋地裁 平成8.2.1
- 岩倉自動車教習所事件 京都地裁 平成9.7.16 など
期間の定めのない契約とはいえないとされた判例
日立メディコ事件 最高裁 昭和61.12.4
契約更新に当たっては、更新時期の1週間位前に本人の更新の意思を確認し、当初作成の労働契約書に雇用期間を記入し、臨時員の印を押捺させて、期間満了のつど新たな契約を締結することを合意することによって更新してきたこと、更新回数は5回、勤続期間は10ヶ月に過ぎないこと、臨時員には前作業的要素の作業、単純な作業、精度がさほど重要視されない作業に従事させていたこと、臨時員については簡易な採用方法をとっていたこと、臨時員制度が雇用調整の目的で設けられたものであることなどの事実関係を前提に、「期間の定めのない場合と実質的に異ならないものとはいえない」と判示している。
他にも同様の判例として、以下のようなものがあります。
- 三洋電機定時社員仮処分異議事件 大阪地裁 平成3.10.22
- 豊南学園事件 東京地裁 平成4.3.31
- ソニー長崎事件 長崎地裁大村支部 平成5.8.20
- 日本電子事件 東京地裁八王子支部 平成5.10.25
- 新潟労災病院事件 新潟地裁高田支部 平成6.8.9
- 道路エンジニアリング事件 東京地裁 平成8.2.2
- 三洋電機事件 大阪地裁 平成9.12.22 など