特定退職金共済制度とは
特定退職金共済制度は商工会議所の制度
この制度は各商工会議所が、国(税務署)の承認を得て実施しています。
特定退職金共済制度の特徴
(1) | 事業主が負担するこの制度の掛金は、全額損金または必要経費に計上できる (所得税法施行令第64条、法人税施行令第135条) |
(2) | 従業員の給与所得にならない(所得税法施行令第64条) |
(3) | 従業員の過去勤務期間を制度加入後の期間と通算することができる (基本掛金のほかに過去勤務掛金を払い込む) |
(4) | 「勤労者退職金共済機構」が実施する退職金制度(中退共)との重複加入が認められる ※他の特定退職金共済制度との重複加入は認められない |
(5) | 退職金支払いのための保全措置が講ぜられる (賃金の支払の確保等に関する法律第5条) |
(6) | 掛金は、生命保険会社等に運用を委託 |
特定退職金共済制度は商工会議所の制度
基本掛金月額・・・・従業員1人につき最高30口(1口1,000円~30,000円)まで加入できる
口数の増加・・・・・基本掛金月額の範囲で増口できる
過去勤務掛金・・・・従業員1人につき最高30口まで加入できる
対象(東京商工会議所の場合)
契約できる事業主(共済契約者)
東京商工会議所の定める地区(東京23区)内で事業を営む事業主
加入できる従業員(被共済者)
- 年齢満15歳以上、満70歳未満の従業員(加入継続は年齢満80歳に達した時まで)
- 従業員給与部分を受ける使用人兼務役員。但し、該当する兼務役員は全員加入。
※加入させなくてもよい従業員
- 時間を定めて雇われている人
- 季節的な仕事のために雇われている人
- 試用期間中
- 非常勤
- パートタイマーのように労働時間の特に短い人
- 休職中
加入できない従業員
- 年齢満15歳未満または満70歳以上の従業員
- 個人事業主
- 個人事業主と生計を一にする親族
- 法人の役員(使用人兼務役員を除く)
- 他の「特定退職金共済団体」の被共済者(加入者)
掛金の払い込み
預金口座より自動的に毎月引き落とし(法人の場合は法人口座から、個人事業所の場合は個人事業主の口座から)。
特定退職金共済制度の給付金
(1) | 退職一時金 加入従業員(被共済者)が退職したとき退職一時金が支払われる。 |
(2) | 遺族一時金 加入従業員(被共済者)が死亡したとき遺族一時金が遺族に支払われる。(退職一時金に基本掛金1口につき10,000円が加算された額) ※遺族とは、労働基準法施行規則に定める遺族補償の順位による |
(3) | 退職年金 加入従業員(被共済者)が加入期間10年以上で退職し、年金を希望したとき退職年金が10年間支払われる。 年金の受給期間中に死亡したとき、残余期間分の年金は、遺族に支払われる。 |
(4) | 解約手当金 やむを得ず途中で契約を解約した場合、解約手当金が加入従業員に支払われる ※解約をする場合には、加入従業員(被共済者)全員の「解約同意書」が必要 ※解約手当金は、従業員の一時所得となる |
特定退職金共済制度の税務と経理処理
(1) | 事業主が負担した「掛金」は、全額損金または、必要経費に「特定退職金共済掛金」として計上(所得税法施行令第64条、法人税法施行令第135条) |
(2) | 加入者が受け取る「退職一時金」は、退職所得として「退職所得控除」が受けられる(所得税法第30条、同法施行令第72条) |
(3) | 遺族が受取る「遺族一時金」は、相続財産となる(相続税法第3条) |
(4) | 「退職年金」は、雑所得として公的年金の控除が受けられる(所得税法第35条、同法施行令第82条の2) |
(5) | 「年金」開始後に、残余の年金原価を一時金で受け取る場合は、退職所得となる(所得税基本通達法第30条の4) |
(6) | 「解約手当金」および制度の要件に違反して受取る一時金は、一時所得となる(所得税法施行令第76条) |
特定退職金共済制度の問合せ先
東京商工会議所共済センター Tel.03-3283-7905