退職時のチェックポイント

退職時の年次有給休暇

年休は、退職が予定されていても、未だにその会社に在職中であれば、退職時まで年休を取得する権利があるので、労働者は自由に行使することができます。

使用者が時季変更権を行使しない限り、年休は労働者の請求する時季に与えなければなりません。(労働基準法第39条4項)

しかし、時季変更権による時季の変更は、退職予定日を超えてはできないので、結果として、退職日直前の有給消化は拒否できないことになります。

ただし、使用者の有する時期変更権を行使し得ないような休暇請求は、法の主旨に反するとの意見もあります。


退職時の賃金

月給等は毎月の支給日を待たず、退職した労働者が請求した場合、その請求後7日以内に使用者は支払わなければなりません。(労働基準法第23条

ただし、退職金はこの例外とされるので、退職金規程等で定められた支給日に支給されます。


退職後、専業主婦となる場合

夫が加入している健康保険の被扶養者となることができます。

また、国民年金の「第3号被保険者関係届」を市町村に忘れずに提出してください(平成14年4月以降は会社が手続きすることになりましたが、念のため会社に確認したほうがよいです)。

関連事項:国民年金の届出書類

逆に、夫が退職し、扶養から外れたときは、これまで被扶養者となっていた妻は、国民年金に加入しなければなりません。

被扶養者期間については、夫の加入する厚生年金全体から、個々の被扶養者の保険料がまとめて払われていた(つまり、見た目上は、支払っていないように見えていた)のですが、国民年金に加入すると自分で払わなければならなくなります。


結婚・出産退職の念書

「結婚したら退職する」「出産したら退職する」という念書を提出させている会社があります。

しかし、男女雇用機会均等法は、「事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない」(男女雇用機会均等法第9条)と規定しています。

念書の提出はこれに含まれる(婦発第68号 昭和61.3.20)ため、念書を提出させることはできません。


退職時の損害賠償責任

やむを得ない理由で、即時に契約の解除をする場合は、損害賠償責任が生じることがあります。(民法第627条1項)

労働者側の理由による退職で、使用者が具体的に損害を受けた場合には損害賠償請求権が生じますが、事務の新規採用の場合など、現実には損害額の算定が困難なことが多いと思われます。

ソフトウエアのプログラマーなど、個人で仕事をする場合は、雇用解約による損害賠償額が容易に算定できる場合もあります。

逆に、使用者側からの途中解雇だと、受け取れたはずの残期間の賃金について、労働者側から損害賠償を請求されることにもなります。

関連事項:損害賠償


訓練費用の退職時の返還

採用後、スキルアップのために、会社経費で民間の訓練機関へ派遣する場合があります。

この訓練費用の負担の取り決めについて、「労働者側責により雇用関係が途中解約された場合、会社に返還する」旨の規定を設けることがあり、これが別立ての金銭消費貸借契約の形式とされていた場合、この請求も合法とされます。

場合によっては、このような別立て契約も考慮したほうが良い場合もあります。

関連事項:研修費用の返還


年俸制の場合の退職

年俸制の場合の途中解約のペナルティについて、具体的に記載しておくことが重要です。


ページの先頭へ