退職時の引継の留意点について
退職に伴う後任への引継要領
労働者が退職するときには、業務に支障をきたさぬよう、きちんと引継ぎをさせましょう。
(1) | 業務の総体的な説明 通常、複数の業務を担当していることが多い。その業務の優先順位や目的、社内での位置づけなど全体像を説明すれば、後任者も理解しやすい。 |
(2) | いつ、何をすべきかをまとめさせる 「月初に入金を確認する」など、1ヶ月の間で何をすべきか、一覧表を作成させる。また、業務の進捗状況や今後の見通しなどもまとめさせる。 |
(3) | これまでのトラブルをまとめさせる これまでの担当業務や、顧客との間でトラブルがあった場合は、その経緯を示しておくことで、後任者も心構えができるうえ、顧客とのトラブルを回避できる。万が一のために、その対処法も教えさせておくこと。 |
(4) | 書類をファイリングさせる 業務上必要な資料やマニュアルは、案件ごとにファイリングさせたり、パソコン上でフォルダーを作らせる。また、関連書籍がある場合は、その所在も明確にさせておく。 |
(5) | 顧客の連絡先をまとめさせる 顧客の連絡先も案件ごとにまとめさせる。担当者の名前だけでなく、折衝時の注意点などもいっしょに書かせておく。 |
B-ing(2004.11.3)より
退職に伴う業務の引継と賃金
きちんと引継をしなかったことを理由に、最後の賃金支払いを渋る会社は少なくないようですが、これは違法です。
第一住建事件 大阪地裁 平成15.7.30
被控訴人が債務の本旨に従った労務を遂行したことによって賃金請求権が発生している以上、後に引き継ぎを行わなかった場合に、引き継ぎが行われなかった行為自体が債務不履行に当たる場合があるとしても、すでに提供した労務が債務の本旨に従った履行でなくなるということはできず、被控訴人の賃金請求は理由がある。