従業員の交通事故の刑事責任

前科前歴や情状酌量がポイント

民事の例と同様に、従業員が、前方不注意という過失により、第三者の車と接触し、第三者に怪我を負わせてしまった場合、従業員の行為は、業務上過失傷害罪(刑法第211条前段)に該当します。

しかし、必ず処罰されるとは限りません。

従業員の年齢、性格、境遇、前科前歴、犯罪の軽重や情状、犯行後の事情など、一切の事情を考慮して処罰の必要がないと検察官が判断すれば起訴猶予となり、処罰はされません。

この場合、従業員に前科前歴はなく、被害者にも過失があり、被害者の怪我も軽いこと、示談も成立する可能性が高いことなどからすれば、起訴猶予となる可能性は十分にあります。

しかし、場合によっては略式手続による罰金刑が科せられるかもしれませんし、仮に従業員に同種の前科前歴があり、反省の情がないなどのマイナス材料があれば、起訴されて、執行猶予付きとはいえ禁錮刑に処せられる場合も考えられます。


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