労働契約の終了の種類と解雇との違い

解雇と退職の権利関係

労働契約の終了には、「契約期間の満了」(約束した期間が終わること)や「解雇」、「退職」(契約当事者の一方の意思表示による契約の破棄)、「合意解約」(労働者と使用者とが合意によって労働契約を将来に向かって解約すること)などがあります。

解雇は「使用者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させる」ことであって、退職は「労働者の一方的な意思表示によって労働契約を終了させる」ことです。

解雇・退職の意思表示が文書で行われることは稀です。

そのほとんどが口頭で行われるため、果してどちらの側が契約を破棄したのか、それとも合意で解約したのかあいまいになることが多く、トラブルになることが少なくありません。

それは、解雇とされるか、退職とされるかで、権利関係が大きく異なってくるからです。

合意解約は原則として自由ですが、退職や解雇については期間の定めの有無により異なってきます。

期間の定めのないとき 退職 退職日の2週間前までに通知します。(民法627条第1項
解雇 労基法20条の手続きが必要とされるほか、解雇理由のない場合や正当性を欠く場合は、解雇権の濫用として無効となります。
期間の定めのあるとき 退職 やむを得ない理由があるとき以外退職できません。(民法628条
解雇 やむを得ない理由があるとき以外解雇できません。(民法628条

退職となると、解雇の時に比べ退職金の額が少ないことが多く、また、退職の場合には失業手当の受給に3ヶ月の給付制限期間が付されるなど具体的な不利益が生じるなどの差が出てきます。

したがって、それぞれのケースが解雇になるのか、退職なのか判断しなければ、具体的な解決はできないことになります。

特に問題になるのは、使用者から促されて退職する退職勧奨と捉えられるようなケースで、さまざまな事情を考慮する必要があります。


ページの先頭へ