解雇予告除外認定について

解雇予告除外認定申請書(記載例)

解雇予告除外認定申請書の記載例は下記の通りです。参考にしてください。

解雇予告除外認定申請書(記載例)


解雇予告除外認定が事後に申請された場合

解雇予告除外認定は、原則として事前に受けておかなければなりませんが、即時解雇したときにそれに該当する事実があるならば、確認処分が後日に行われても有効 です。

即時解雇の意思表示をした後、解雇予告除外認定を得た場合は、その解雇の効力は使用者が即時解雇の意思を表示した日に発生すると解される。
(昭和63.3.14 基発150号)

このとき、解雇予告除外認定が認められなかった場合は、使用者が即日解雇に固執しないならば、以下のいずれか早いときから、解雇の効力が生じます。(細谷服装事件 最高裁 昭和25.3.11)

  1. 解雇通知後30日の期間を経過するか
  2. 通知後解雇予告手当の支払いをしたとき

労基法第20条の要件を充足するには、それまでの間は使用者の責に帰すべき事由として平均賃金の60%の賃金保障をし、あらためて30日分の予告手当を支払うべきだとされています(最高裁はそこまで要請していませんが)。

なお、「不承認」だと、解雇そのものの正当性そのものも、あらためて問題にされることになるでしょう。

慎重な判断が必要です。

当該書面だけについて審査することなく、必ず使用者、労働組合、労働者その他の関係者について申請事由を実地に調査の上該当するか否かを判定すべきことであるから十分その取扱いに留意せられたい。
(昭和63.3.14 基発150号)


解雇予告除外認定はないが、予告が行われている場合

労働基準監督署長の除外認定を受けずになされた懲戒解雇であっても、解雇予告手当の支払いがなされているときは、何ら違法とはなりません。

解雇予告除外認定を受けずに30日の予告期間を置いて懲戒解雇すること有効です。

※ただし、「解雇」そのものの合理性が争われることは避けられません。


解雇予告手当への課税

解雇予告手当と税額上の取扱い解雇予告手当は退職所得に合算して課税されます。

退職所得控除額は勤続年数によります。

  1. 勤続2年以下の場合、80万円。
  2. 20年以下の場合、40万円×勤続年数など。

先払い賃金と解雇予告手当の関係

先払い賃金については、解雇予告手当に充当することも可能です。

メンタルケア事件 東京地裁 平成15.3.31

労働者が解雇予告手当を請求する場合において、使用者が当該労働者に対し、解雇の時点より後の分の賃金を先払いしていたとき、同手当てと賃金との同質性に鑑み、この先払い分を解雇予告手当に充当することも許される。


解雇予告手当の支払いを拒否した場合

労働者が労働基準監督署に駆け込めば、調査の上、是正勧告が出されます。

また、労働者から解雇理由書の交付を内容証明・配達証明郵便で請求されるかと思います。

その場合、解雇理由書の交付をしなかったら、次は労働基準法第22条第1項に規定されている退職証明書に解雇理由の記載と求めて内容証明・配達証明郵便で要求されるでしょう。

もし、それでも退職証明書も交付しなかったら、労働者は労働基準監督官に対して、会社が労働基準法第22条第1項違反した事実の申告を行うと考えられます。

いずれにしろ、これらは交付する他ありません。

また、労働者は、解雇理由書もしくは退職証明書の受領後、下記項目について仮処分申請を裁判所に行うことも考えられます。

  1. 地位保全
  2. 解雇日から未払い賃金の支払
  3. 原職復帰

付加金

解雇予告義務に違反した解雇をなした使用者については、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられる可能性があるほか(労働基準法第119条1号)、裁判所の判断により、未払いの予告手当と同額の付加金の支払いを命じられる可能性があります(労働基準法第114条)。

付加金については、裁判所が支払いを命じて初めて具体化するものであって、遅滞に陥るのは裁判所の支払命令が確定してからです。(江東ダイハツ自動車事件 最高裁 昭和50.7.17)

また、それは賃金ではありませんから、遅延利息の利率は民法所定の年5分ということになります。


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