雇用契約の最終更新特約

最終更新特約

反復更新された労働契約を、更新しない旨意思表示し雇止めすることは解雇またはそれに準ずるものと判断されますが、「最終更新特約」付の契約は、満了をもって自動退職となり、「解雇」には該当しないとされています。

つまり、最終更新にあたる更新の際に「今回の更新をもって最終とし○月○日で本契約は終了する」とか、「最終更新であることを承認し、以降の更新を行わないことを承諾する」など、「今回をもって最終とし、次回以降の更新を行わない」旨を合意した場合、合意に基づく労働契約の終了であるから、自動的な退職となると解されるのです。

テンプル教育サポート・サービス事件 東京地裁 平成13.10.1

経営主体が同一ではあるが、法的には別々の会社に転々と有期雇用で勤務し、雇用期間はつごう7年になった原告が、雇止めされた。最後の会社の雇用契約は1年間であった。

会社は、更新の保証のないことが明記された雇用契約を締結し、また、契約締結の5ヶ月後に、原告に対し、人員削減の可能性を通告した。

また、更新者の選定委員会は原告の適格性が他の申請者より相対的に低いと評価した。

裁判所は、これらの経過については不自然な点は見あたらないとし、学生数の減少とこれに伴う教員削減の必要性、審査手順の策定及びその実施経緯、代替案(期間終了前に4ヶ月の有期雇用を申し出たが、原告が拒否)の提示などの事情を考慮すると、本件雇止めには、社会通念上相当とされる客観的な理由があったとした。

ただし、この契約同意において、労働者の意思表示が、心裡留保、虚偽表示、錯誤によるものである場合には、その意思表示自体が無効とされます。

例えば、労働者が同意しなければ契約してもらえないと誤解して同意した場合や、会社が「トラブルを防止するために特約を設けるだけで契約更新をしないという意味ではない」などと説明して同意を得た場合には、その特約は無効とされるといえるでしょう。

また、このような特約を毎回設けて労働契約を締結した場合も、その特約の効果は否定される可能性が高いでしょう。


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