解雇と社会保険等の取り扱い

社会保険

健康保険では、事業主から資格喪失届に基づき手続が進められます。

これは、労働委員会への申し立て、裁判所への仮処分申請が行われていても同様です。

労働委員会や裁判所が解雇無効を判定し、その効力が発生した場合には、資格喪失処理が取り消されますが、この場合、解雇無効の効力発生までに自費で診療を受けた者に対し、診療費等が支出されます。

また、この間の保険料も徴収されます。

ただし、その後の本裁判等で、いったん出された解雇無効の決定が覆され、遡及して解雇が成立すると、すでになされた保険給付は被保険者から返還させることになります。

この場合に事業主が還付請求をすると、支払済保険料の還付を受けることが可能です。

年金の場合も同様です。


雇用保険

雇用保険では、解雇の効力等について争いのある場合は、一定の場合に資格喪失の確認を行い、この確認に基づいて基本手当等が支給されます(条件付給付という)。

これは、解雇に不服で、そのことを裁判所に提訴などしているが、その判決が行われている場合であって、解雇された被保険者が、解雇を不当として「離職証明書の記載内容について相違ない」という署名押印は行わない場合に適用されます。

離職証明書および離職票の欄外に、「労働委員会、裁判所または労働基準監督機関に申立て、提訴または申告中であるが、基本手当ての支給を受けたいので、資格喪失の確認を請求する。」旨の記載をし、署名捺印します。

なお、解雇無効が確定したときは、すでに受給した基本手当等は返還しなければなりません。


労災保険

解雇する前に発生した事故によりケガをし、労災保険の給付を受けている場合は、引き続き保険給付を受けることができます。

また、解雇された後に病気が発生した場合でも、その病気の原因が解雇する前に従事していた義務に起因していることが明らかであれば、保険給付を受けることができます。


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