整理解雇の4要件:労働者への説明・協議

労働者・労働組合へ説明・協議手続きを尽くしたこと

労働協約上、人員整理について、使用者に労働組合との協議を義務づける条項がある場合、具体的な人選の基準やその当否について十分な協議をなさずに行われた解雇は、協約違反として無効となります。

協約がない場合においても、使用者は労働者に対して、整理解雇の必要性とその内容(時期、規模、方法)について納得を得るための説明を行い、誠意をもって協議すべき信義則上の義務を負います。

労働組合、労働者に対して、経営内容、人員整理の必要性、時期、規模、基準について十分説明し、誠意をもって協議を行うことが求められます。

グリン製菓事件 大阪地裁 平成10.7.7

本件解雇は、債権者らの債務者の解雇条件の決定手続に対する参加の機会を与えておらず、組合との団体交渉の継続中に突然になされたものであって、解雇基準の合理性やその手続全体の適正さには疑問が残るものであり、本件解雇に関する債務者からの誠意ある話し合いがあったとは認められないことからすると、右信義則上の義務尽くされてなされたものであると認め難く、その限りで、本件解雇は、債権者らの手続上の権利を害し、信義則上の義務に違反したものとして、解雇権の濫用に当たり、無効となると解すべきである。

北斗音響事件 盛岡地裁 昭和54.10.25

協議はしても「不況を乗り切って会社が生き残るためにはやむを得ない」というような具体性のない説明を繰り返すだけで、どうしてもそれだけの人員削減が必要だということを裏付ける経理資料を出さなかったため、「誠実に説明・協議したことにならない」として、工場閉鎖に伴う全員解雇が無効とされた。

よしとよ事件 京都地裁 平成8.2.2

経理状況の資料を労働組合に見せることに応じたが、コピーをとるのは認めないとしたケースで、「誠実に説明・協議したとはいえない」とされた。


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