整理解雇と非正規社員との関係

非正規社員は正規社員より先行して解雇される

正社員を整理解雇するためには、非正規従業員の解雇を先行させなければ解雇権の濫用にあたるとする判断が示されています。

ただし、パートタイマーをはじめとする非正規従業員も、現在では家計補助的な労働者といえなくなってきていますので、経営が悪化したので簡単に解雇できると判断するのは好ましくありません。

業務の内容、採用時のやりとり、契約更新の回数、更新手続きが形骸化していないかなど、実質的に期間の定めのない労働契約と異ならないかをチェックする必要があります。


解雇対象者の順位

  1. 純粋なパートタイマー

  2. 定年後再雇用者

  3. 常用的パートタイマー

  4. 常用的臨時工

  5. 正社員

※日立メディコ事件 最高裁 昭和61.12.4による。


春風堂事件 東京地裁 昭和42.12.19

フルタイムの労働者の地位とパートタイムの労働者の地位とは、そこに自らの差違があり、使用者が企業経営の必要から労働者の整理と行おうとする場合には、先ずパートタイムの労働者を先にして、その後フルタイムの労働者に及ぼすべきものであり、それを逆にすることは原則として許されないものというべきである。

八欧電機事件 神戸地裁 昭和39.1.29

(臨時工について)一定の限度までは雇用量を恒常化することができても、景気変動の波が安定していない経済界においてそれに備え雇用量を調整することは企業の採算上やむを得ないことであり、そのために設けられた臨時従業員制度の存在理由なしとするを得ない。

三菱電機事件 神戸地裁 昭和39.1.29

景気の後退、臨時工の採用停止、人員過剰による受入余地の消滅の理由により(臨時工の)更新拒絶による解雇もやむをえないものとして、合理的理由があるとされた。


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