仕事を受けた側の責任

仕事を受けた以上は責任も負う

成果物が不完全であった場合や、その納入が遅れた場合の取扱いについて、特別に合意しなかった場合には、民法の債務不履行、請負人の担保責任、危険負担に関する規定が適用されます。

債務不履行(民法415条)

債務不履行は、債務者がその責に帰すべき事由によって、債務の本旨に従った履行をしないことをいい、履行遅滞、履行不能、不完全履行の3つの型があります。

  1. 履行遅滞・・・債務を履行できるのに、履行期に違法に履行しない場合
  2. 履行不能・・・債務者の故意・過失などによって履行が不可能となった場合
  3. 不完全履行・・・履行としてなされたことが不完全な場合

債務者に責任があり、不履行によって損害が生ずれば、債権者は債務者に対して賠償を請求できます。

契約による債務が履行されないときは、債権者は一定の手続きによって契約を解除できます。

第415条(債務不履行による損害賠償)

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。

請負人の担保責任(民法634条~636条)

成果物が不完全な状態であるときは、注文者は請負人に対し、不完全な点の補修を請求できます。また、損害賠償の請求もできます。

成果物が不完全で目的を達せないときは、注文者は契約を解除できます。

第634条(請負人の担保責任)

仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない。

2 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。この場合においては、第533条の規定を準用する。

第635条

仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。

第636条(請負人の担保責任に関する規定の不適用)

前2条の規定は、仕事の目的物の瑕疵が注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じたときは、適用しない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

危険負担(民法534条~536条)

契約締結後、対価関係にある2つの債務について、一方の債務が債務者の責任によらないで毀損、滅失等したときに、他方の債務がなくなるかどうか、例えば、成果物が不可抗力によって滅失してしまったような場合に発注者は報酬を支払わなければならないか、という問題です。

物の売買のような特定物に関する物権の設定又は移転の契約では、債権者(買主)が危険を負担しますが、それ以外の契約では、債務者が負担します。

第534条(債権者の危険負担)

特定物に関する物権の設定又は移転を双務契約の目的とした場合において、その物が債務者の責めに帰することができない事由によって滅失し、又は損傷したときは、その滅失又は損傷は、債権者の負担に帰する。

2 不特定物に関する契約については、第401条第2項の規定によりその物が確定した時から、前項の規定を適用する。

第535条(停止条件付双務契約における危険負担)

前条の規定は、停止条件付双務契約の目的物が条件の成否が未定である間に滅失した場合には、適用しない。

2 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰することができない事由によって損傷したときは、その損傷は、債権者の負担に帰する。

3 停止条件付双務契約の目的物が債務者の責めに帰すべき事由によって損傷した場合において、条件が成就したときは、債権者は、その選択に従い、契約の履行の請求又は解除権の行使をすることができる。この場合においては、損害賠償の請求を妨げない。

第536条(債務者の危険負担等)

前2条に規定する場合を除き、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を有しない。

2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。


ページの先頭へ