有期労働契約に関する告示
契約期間に関する告示
雇止めにまつわるトラブル回避のため
有期労働契約(期間を定めて締結された労働契約)については、契約更新の繰り返しにより、一定期間雇用を継続したにもかかわらず、突然、契約更新をせずに期間満了をもって退職させる等の、いわゆる「雇止め」をめぐるトラブルが大きな問題となっています。
このため、このようなトラブルの防止や解決を図り、有期労働契約が労使双方から良好な雇用形態の一つとして活用されるようにするとの観点から、改正労働基準法により、使用者が講ずるべき措置について、厚生労働大臣が基準を定めることができることとされました。
厚生労働省では、これに基づき、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を策定しました。
また、行政官庁は、この基準に関して、使用者に対して必要な助言や指導を行うこととなります。
【告示】
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15.10.22 厚労告357号)(令和6年4月1日改正)
【通達】
「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」について(平成15.10.22 基発1022001号)(令和6年4月1日一部改正)
「労働契約法の施行について」(平成24.8.10 基発0810号第2号)
有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準
(有期労働契約の変更等に際して更新上限を定める場合等の理由の説明)
第1条
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結後、当該有期労働契約の変更又は更新に際して、通算契約期間(労働契約法(平成19年法律第128号)第18条第1項に規定する通算契約期間をいう。)又は有期労働契約の更新回数について、上限を定め、又はこれを引き下げようとするときは、あらかじめ、その理由を労働者に説明しなければならない。
。
更新上限の書面明示と更新上限を新設・短縮する場合の説明
使用者は、有期労働契約を締結した後に、以下のような場合には、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)を新たに設定する理由や短縮する理由について、更新上限の新設・短縮を行う前に、労働者へ事前に説明しなければなりません。(令和6年4月1日改正)
- 更新上限を新たに設ける場合
- 更新上限を短縮する場合
- 契約の更新はしない 等
2 前項の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。
(対象となる労働者)
パート・アルバイト、契約社員、派遣労働者、定年後に再雇用された労働者等、有期契約労働者が対象。
(更新上限の明示事項)
有期労働契約を締結する際や契約を更新する際に、通算契約期間や更新回数の上限が設定されている場合は、その内容を明示する必要があります。例えば下記の明示例を参考とする。
- 「契約期間は通算3年を上限とする」
- 「契約期間の更新回数は4回まで」 等
更新上限を新設・短縮しようとする場合の説明事項
次の場合には、あらかじめ(更新上限を新たに設定・短縮する前の段階で)、その理由を労働者に説明することが必要です。
- 更新上限を新たに設定しようとする場合
- 更新上限を短縮しようとする場合
「更新上限の短縮」とは、例えば、通算契約期間の上限を5年から3年に短縮することや、更新回数の上限を3回から1回に短縮することを指します。
そのほか更新に関しての参考事項
更新の有無の明示
明示すべき「更新の有無」の具体的な内容については、例えば下記の例を参考とする。
- 契約期間満了時の業務量により判断する
- 労働者の勤務成績、態度により判断する
- 労働者の能力により判断する
- 会社の経営状況により判断する
- 従事している業務の進捗状況により判断する 等
その他留意すべき事項
これらの事項については、トラブルを未然に防止する観点から、使用者から労働者に対して書面により明示することが望ましい。
(雇止めの予告)
第2条
使用者は、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。次条第2項において同じ。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
対象となる有期労働契約
ここでの対象となる有期労働契約は、
- 有期労働契約が3回以上更新されている場合
- 1年以下の契約期間の労働契約が更新又は反復更新され、当該労働契約を締結した使用者との雇用契約が初回の契約締結時から継続して通算1年を超える場合
- 1年を超える契約期間の労働契約を締結している場合
であること。
留意すべき事項
30日未満の契約期間の労働契約を3回以上更新した場合又は当該労働契約の更新を繰り返して1年を超えた場合の雇止めに関しては、30日前までにその予告をするのが不可能な場合であっても、本条の趣旨に照らし、使用者は、できる限り速やかにその予告をしなければならないものであること。
(雇止めの理由の明示)
第3条
前条の場合において、使用者は、労働者が更新しないこととする理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
2 有期労働契約が更新されなかった場合において、使用者は、労働者が更新しなかった理由について証明書を請求したときは、遅滞なくこれを交付しなければならない。
雇止めの理由の明示
使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様。
明示すべき雇止めの理由
「更新しないこととする理由」及び「更新しなかった理由」は、契約期間の満了とは別の理由を明示することを要するものであることが必要である。
(参考例)
- 前回の契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていたため
- 契約締結当初から、更新回数の上限を設けており、本契約は当該上限に係るものであるため
- 担当していた業務が終了・中止したため
- 事業縮小のため
- 業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため
- 職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたこと等勤務不良のため等
(契約期間についての配慮)
第4条
使用者は、有期労働契約(当該契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限る。)を更新しようとする場合においては、当該契約の実態及び当該労働者の希望に応じて、契約期間をできる限り長くするよう努めなければならない。
労働契約の実態
「労働契約の実態」とは、例えば、有期労働契約の反復更新を繰り返した後、雇止めをした場合であっても、裁判において当該雇止めが有効とされる場合のように、業務の都合上、必然的に労働契約の期間が一定の期間に限定され、それ以上の長期の期間では契約を締結できないような実態を指すものであること。
(無期転換後の労働条件に関する説明)
第5条
使用者は、労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条第1項の規定により、労働者に対して労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第5条第5項に規定する事項を明示する場合においては、当該事項(同条第1項各号に掲げるものを除く。)に関する定めをするに当たって労働契約法第3条第2項の規定の趣旨を踏まえて就業の実態に応じて均衡を考慮した事項について、当該労働者に説明するよう努めなければならない。
無期転換後の労働条件に関する説明
使用者は、無期転換後の労働条件を決定する際、正社員や無期雇用フルタイム労働者などの通常の労働者とのバランスを考慮した点について、当該労働者に説明するよう努める必要があります。(令和6年4月1日改正)
労働契約期間について(参考)
有期労働契約を締結する場合、その期間の長さについて、労働基準法14条は次のように定めています。
《原則》上限3年
※ただし、有期労働契約(特例3に定めたものを除き、その期間が1年を超えるものに限ります。)を締結した労働者(下記特例1または2に該当する労働者は除きます。)は、労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができます。
《特例1》→ 上限5年
高度の専門的知識等を有する労働者との間に締結される労働契約
※当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限ります。
《特例2》→ 上限5年
満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約
《特例3》 → その期間
一定の事業の完了に必要な期間を定める労働契約(有期の建設工事等)
なお、「労働契約法の一部を改正する法律」(平成25年4月1日施行)18条の規定により、有期労働契約を更新したために契約期間が5年を超える場合には、労働者から無期労働契約への転換の申込みができることが可能とされました。こちらの規定に関してはこちらをご参照下さい。
労働契約法の施行について(参考)
平成20年3月1日より「労働契約法」が施行され、平成24年8月10日に「労働契約法の一部を改正する法律」が一部施行されました。労働契約法は、有期契約労働者に対しても適用されます。
労働契約法においては、有期労働契約に関して、次のように定めています。
- 使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができません。(第17条第1項)
- 使用者は、有期労働契約によって労働者を雇い入れる目的に照らして、契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮しなければなりません。(第17条第2項)
- 労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、就業の実態に応じて、均衡を考慮するものとする。(第3条第2項)
- 使用者は、労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。(第4条第1項)
→例えば、労働者に労働条件をきちんと説明することなどが考えられます。 - 労働者と使用者は、労働契約の内容(有期労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。(第4条第2項)
→例えば、労使で話し合った上で、労働条件を記載した書面を労働者に交付することなどが考えられます。
→有期労働契約の場合には、契約期間が終わったときに契約が更新されるかどうかや、どのような場合に契約が更新されるのかなど、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」で使用者が明示しなければならないとされている事項についてもハッキリさせておきましょう。
訪問介護労働者について
労働条件の明示が不十分であることなどから問題が生じることがあります。通達では、労働契約期間について、以下のように指示されています。
労働契約の期間
非定型的パートタイムヘルパー等については、労働日と次の労働日との間に相当の期間が生じることがあるが、当該期間も労働契約が継続しているのかどうかを明確にするため、労働条件の明示に当たっては、労働契約の期間の定めの有無及び期間の定めのある労働契約の場合はその期間を明確に定めて書面を交付することにより明示する必要があること(法第15条第1項、労働基準法施行規則(以下「規則」という。)第5条第1項第1号、同条第3項)。
また、期間の定めのある労働契約を締結する場合の、労働契約に係る更新の有無等の明示については、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)の定めるところによること。
なお、労働契約を更新する場合においては、その都度改めて労働条件を明示する必要があること。
(訪問介護労働者の法定労働条件の確保について 平成16.8.27 基発第08270001号)
