パートタイマーの均衡処遇

正社員に近いパートは、正社員並の処遇を

国は、正社員と職務が同じパートタイム労働者について、正社員との均衡を考慮した処遇に努めるよう、求めています。

例えば、所定労働時間の差が正社員と比べて短いとはいっても、その程度が1~2割程度未満であれば、正社員としてふさわしい処遇をすることが望まれます。

考慮すべき事項には次のようなものがあります。

(1) 賃金、賞与及び退職金について通常の労働者とのバランスを考える
(2) 教育訓練の実施に努める
(3) 福利厚生施設の充実に努める
(4) パートタイム労働を希望する高年齢者に適当な雇用の場を提供するように努める
(5) 通常の労働者への応募機会の付与に配慮する
(6) 所定労働時間が通常の労働者とほとんど同じ労働者の取扱に配慮する

職務が同じかどうかの考え方

「職務の範囲」を比較

個々の作業の幅や組み合わせについても比較して判断します。

職務が同じケース 作業後の清掃など臨時的・付随的な作業の違いがあっても、通常従事する作業が同じ場合は、同じ職務と考えられます。
職務が異なるケース 作業の幅や組み合わせが大きく異なる場合、例えば、正社員がパートタイム労働者の行う作業に加え、生産計画の策定、顧客対応なども行うような場合は、「職務」そのものが異なると考えられます。

「個々の作業」を比較

トラブル発生時や臨時・緊急時の対応、ノルマなどが、同じように職務上の「責任」として含まれているかを考慮するとともに、与えられた権限の範囲についても考慮してください。

また、作業を行うに当たって必要最低限の能力や難易度、複雑度などの「職務レベル」、さらに、肉体的・精神的負担などの「労働の負荷」なども「職務が同じ」かどうかの判断基準となります。

職務が同じと
考えられる例
あるクレジット会社では、カード会員申込者の審査業務において、正社員だけでなくパートタイム労働者に対しても職能資格制度を導入し、一定の資格等級に達したパートタイム労働者に対しては、正社員と同様の責任・権限を持つ最終判断業務を任せています。
職務が異なると
考えられる例
あるスーパーマーケットの販売員A(パートタイム労働者)と販売員B(正社員)では、接客、レジ業務は同じように行っていますが、Bには在庫管理・発注の作業やクレーム処理対応があり、全体では職務が異なると考えられます。

人材活用の仕組み・運用が同じかどうかの考え方

人事異動の幅・頻度、役割の変化(責任・権限の重さの変化)、人材育成のあり方など、労働者が時間的経過の中でどのような職務経験を積む仕組みがあるのかということと、その仕組みが実際に運用されているかについて、実態を判断します。

実態が同じと
考えられる例
電気メーカー工場で、溶接・組立・修理を行う現場の正社員は、生産体制の変化に伴って配置されるラインが変わる異動はありますが、他の工場への異動はありません。
同じ現場で働くパートタイム労働者は、長期間勤続であり、1日の所定労働時間は6時間と短いものの、正社員と同じラインに配置され、生産体制の変化に伴って正社員と同じように溶接・組立・修理のラインへの配置換えもされてきました。この場合、実態は同じ工場の正社員と異ならないと考えられます。
実態が異なると
考えられる例
X社の経理部に配置されている正社員の中には、経理部以外の勤務経験のない正社員もいます。しかし、このような正社員でも、部内で異なるラインの仕事を経験しながら役割が変化するとともに、社内横断的なプロジェクトのメンバーに入るなど、一般的に様々な職務経験を積んでいます。
この経理部のパートタイム労働者は、正社員とほぼ同じ経理事務を担当していますが、担当事務やラインは変わることがありません。

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