派遣社員と懲戒処分

派遣先は懲戒処分を出せない

派遣労働者と雇用関係にあるのは派遣元ですから、派遣先が処分を出すことはできません。

アラコム事件 東京地裁 平成12.1.14

派遣先での勤務態度、言動に問題があるスタッフ対する、派遣元の解雇を認めた。

派遣労働者が問題を起こした場合、派遣先は派遣元へ債務不履行責任を追及することになります。派遣元は使用者責任(民法715条)を負っているからです。

テクニカルスキルとヒューマンスキル

スタッフのスキルには2通りあり、その一つはテクニカルスキルという。

実務面の技術や技能のことで、パソコン操作でエクセルやワードといったソフトをどの程度使いこなせるか、また、秘書業務の経験と一口にいっても外人ボスにつけるような英会話力があるかどうかなどである。

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もう一つはヒューマンスキルである。

元気で明るいあいさつができるとか、職場での協調性や対人関係能力など、目に見えにくい人柄の部分をいう。これは物差しがあってないようなものだから、このチェック作業は非常にやっかいだ。

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派遣業界の第一次発展期とよばれた平成元年前後、いわゆるバブルの頃には、単純に人手簿即解消のサポーターとして派遣スタッフが活用されたことは否定しがたい。

そんな時代は人柄優先であった。というよりも人柄にささえられ、スキル自体は置き去りにしても何とか通用した。

「専門性の高い仕事でもないから、ニコニコと何でもしてくれる人いい。とにかく、1日も早く派遣してほしい」。ところが時代は変化した。

不況にあえぐ厳しい経営環境の中、企業では正社員にも生産性を問う年俸制が導入されるようになり、それに呼応するかのように、派遣スタッフがどれくらいの仕事量をこなせるかが問われだした。

単にニコニコとかわいいだけでは顧客にニーズに応えられなくなってきている。

かといって職場での仕事の進め方や円滑な人間関係は、生産性を上げるためだけの重要な要素だから無視はできない。

当たり前だが、派遣スタッフには、今はテクニカルスキルもヒューマンスキルも両方が求められる時代になっている。

~人材派遣会社の作り方儲け方(ぱる出版 三浦和夫 編著)


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