重要性を増すパートの役割

量的にも質的にも、パートの役割が重くなっている

従業員に占めるパートタイマーの割合は年々大きくなっています。

これまで正社員が分担してきた役割をパートが代行するケースも多くなりました。

しかし、現実にはパートと正社員との間にはいろいろな処遇格差があるのが実態です。

したがって、事情の許す範囲で処遇改善を図るのが、自然だと考えられています。

  • 正社員との処遇格差が現実にはいろいろな面で大きい
  • 従業員の中に占める非正社員の割合がいよいよ高くなってきている
  • 正社員の担当していた重要な役割を非正社員が担うようになっている
  • 能力・成果主義では雇用形態の別による処遇格差は説明がつかない

事情の許す範囲で処遇格差是正の方向で考えるのが筋であり、望ましい

デフレ傾向の継続など、賃金水準下方是正への圧力は今後も働き続ける


正社員との「職務同一性」に着目した整理方法

職務レベル

職務レベル

(パートタイム労働に係る雇用権利研究会報告 2000年)


正社員とのバランスを図る場合の検討要素

パートタイム労働者と正社員の間に処遇や労働条件の差がある場合は、その事情の有無等が明確化されることが望まれます。

以下のような事情が認められれば、正社員との間に格差があっても均等が図られていると判断されることがあり得ます。

  1. パートタイム労働者に残業や休日出勤がないか、または少ないという事情があり、これらが労働協約、就業規則、労働契約等において明らかにされている。
  2. パートタイム労働者に配置転換や転勤がないか、または少ないという事情があり、これらが労働協約、就業規則、労働契約等において明らかにされている。

パートタイムが全労働者の2割超す 男性急増

パートタイムで働く人が全労働者の2割を超え、過去最多になっていたことが17日、厚生労働省の調査で分かった。

特に男性労働者に占めるパートの割合が95年の前回調査から1.6倍に増えた。

「正社員として働ける会社がない」ためパートについた男性の増加が目立ち、厳しい雇用情勢を反映している。

調査は昨年10月時点で、全国約1万3000事業所と、パートタイム労働者ら約2万9000人を対象に実施した。

パートで働く人は全国で949万人と推計され、95年の前回調査から280万人増えた。

全労働者に占めるパートの割合は22.1%(前回調査に比べ7.2ポイント増)。

男性労働者の9%、女性労働者の40.3%がパートで働いており、前回調査に比べ男性は3.4ポイント、女性は10.5ポイントそれぞれ増えた。

パートで働く理由(複数回答)で男性が最も多くあげたのが「生活を維持するため」の62.6%。「家計の足しにするため」が59.6%と最も多い女性に比べ、生計を担う切実さが目立つ。

パートを雇用する事業所は56.6%で8.7ポイント増えた。

「人件費が割安だから」が前回の38.3%から65.3%へ急増。

パートが、いつでも解雇できる要員として正社員から置き換わっていると厚労省はみている。

asahi.com 2002.9.17)

パート3割時代…正社員と同じ業務でも、企業の8割で賃金格差

同じ仕事をしている正社員とパートの賃金に格差がある民間企業が全体の8割を超えていることが9日、厚生労働省の調査でわかった。

来年4月に施行される改正パートタイム労働法では、こうした賃金差別を禁じている。パート労働者が労働者全体の3割を超えたことも判明。正社員が減少する一方で、人件費の安いパートを企業が好んで雇う実態も浮き彫りになった。

調査は2006年10月に実施。従業員5人以上の6,653事業所と、パート労働者1万3,426人の回答をまとめた。

同じ仕事をしているのに「賃金額に差がある」とした事業所は全体の81.7%に達した。理由としては、「勤務時間の自由度が違う」「正社員は企業への貢献が期待できる」などが多かった。

労働者に占める正社員の割合は69.3%と、01年の前回調査より4.2ポイント減少した一方で、パートやアルバイト、嘱託社員などを含んだ「パート等労働者」の割合は30.7%となった。パートを雇用する理由は、「人件費が割安」とした事業所が全体の71%と、前回調査より5.7ポイント増えた。

パートの6割以上が会社や仕事に不満があると回答。そのうち、賃金の安さを挙げたのが61.8%と最も多く、「有給休暇が取りにくい」「仕事がきつい」「雇用が不安定」などが続いた。その反面、「パート等で仕事を続けたい」と考えている人はパート労働者の68.4%に上り、「正社員になりたい」の18.4%を大きく上回った。

(2007年11月12日 読売新聞)

働き方が変わっていく 3人に1人がパートやアルバイト

■雇われて働く人の3人に1人がパートやアルバイト

会社などに雇われて給料をもらう人が、働く人全体の85.2%を占めている(2005年総務省労働力調査)。うち、正社員が占める割合は、年々下がっている。1980年代は正社員の割合は80%をこえていたが、2006年には66.8%に下がり、パートやアルバイト、派遣など非正規労働者が33.2%を占めるようになった。

非正規労働者……雇われて働く人のうち、正社員(期間を定めないで雇われ、フルタイムで働く人)以外の人。さまざまな条件や待遇に分かれ、働く時間が短い「パートタイマー」、臨時に雇われる「アルバイト」、派遣会社から仕事先に送りこまれる「派遣労働者」などがある。賃金はたいてい時給や日給で支払われ、雇われる期間も定められていることが多い。

■「正社員になりたいのに…」

パート、アルバイト、派遣労働者として働きながら正社員になることを望む若者(15~34歳。学生は除く)が、急増している。総務省によると、1997年には61万人、2002年には97万人が正社員を希望。内閣府の06年意識調査によると、20代男性のパート、アルバイトなどで「10年後は正社員として働きたい」と答えた人は85.0%。「10年後もパート、アルバイトでいい」という人はゼロだった。

(毎日.jp ニュースがわかる 2008.11.27)

非正社員が初めて減少 総務省の労働力調査1~3月期

派遣やパートなどの非正社員は1,699万人(1~3月期平均)で、前年同期より38万人減ったことが19日、総務省の労働力調査で分かった。02年に現在の形で統計を取り始めて以来、非正社員が前年同期より減ったのは初めて。

雇用者のうち、正社員は3,386万人で前年同期より15万人増えた。非正社員の割合は33.4%となり、前年同期比で0.6ポイント減った。

非正社員のうち、最も減少幅が大きかったのは派遣労働者で、前年同期より29万人減り116万人だった。パートも24万人減の798万人で、景気が急速に落ち込むなか、企業が派遣やパートを雇用の「調整弁」として活用してきた状況が改めて浮き彫りになった。

厚生労働省の調査では、昨年10月から今年6月までに解雇や雇い止めになる非正社員は20万7,381人。このうち派遣は13万2,458人で、6割余りを占める。

(asahi.com 2009.5.19)


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