派遣社員と雇用保険・社会保険

派遣社員の雇用保険

派遣社員の雇用保険の加入要件は次の2つです。

雇用保険への加入は、原則的には労働者を一人でも雇用する事業に適用されます。

適用事業で働く労働者は、本人が加入を希望するか否かにかかわらず、すべて被保険者となります。

(1) 同じ派遣会社に1年以上引き続き雇用されることが見込まれる
(2) 1週間の所定労働時間が20時間以上であること

登録型派遣労働者の場合、同一の派遣元から反復継続して、1年以上派遣就業することが見込まれる場合には、雇用保険の適用対象となります。

契約と契約の間が1年以上続く見込みならば、その間隔が若干開いたとしても、これに該当します。

この場合、派遣元が同じであれば、派遣先会社が変わっても差し支えありません。

登録型は件労働者の雇用保険加入資格

1ヶ月経っても派遣先が見つからないなら、失業給付の手続きを開始する

登録型派遣の場合、派遣期間が終了してから次の派遣就労が開始するまでの間、無就労の期間が生じることがあります。

この無就労の期間が、次の仕事が始まるまでの待機期間なのか、あるいは派遣先が見つからずに失業している状態なのかは、客観的に区別がつきません。

そこで、厚生労働省では、派遣期間終了後、1ヶ月経っても次の派遣就労が開始しない場合には、派遣期間が終了した日を「離職日」として、ハローワークへ資格喪失にかかる手続きをするように指導しています。

もちろん、派遣期間が終了する時点で、「今後は派遣労働者として働くつもりはない」「今後は、新たな派遣先を紹介するつもりはない」など、雇用関係の継続することがないことが明らかな場合には、派遣元は、すみやかに資格喪失手続きをとる必要があります。

関連事項:就労形態による被保険者範囲

雇用保険・社会保険への加入状況

派遣元事業所に雇用されている登録型派遣労働者(n=374)を対象とした、派遣労働に関する実態調査によると、派遣労働者の社会保障等の状況は、以下の通りです。

保険種類 加入している 加入していない 無回答
雇用保険 86.9% 11.5% 1.6%
健康保険 96.8% 2.4% 0.8%
派遣元の厚生年金 76.5% 21.9% 1.6%

平成26年度 派遣労働に関する実態調査 東京都産業労働局

雇用保険への加入手続きは雇用者である派遣元が行います。

登録型派遣労働者の場合、短期間で派遣先が変更したり、派遣先が同じでも派遣期間が中断することも多く、雇用保険に加入できるかどうかの判断が難しいことがありますが、厚生労働省では、適用基準に該当するときには被保険者にあたると示しています。


派遣社員の社会保険

2ヶ月以上の勤務と、同種の労働者の4分3以上の勤務時間

派遣スタッフも、雇用期間が2ヶ月以上あれば、社会保険健康保険厚生年金)に加入することが義務けられています。

契約期間がこれより短くても、更新を続けて2ヶ月を超えるようなことがあれば、対象となります。

ただし、1日又は1週間の労働時間、および1ヶ月の労働日数が、その事業所で同種の業務を行なう通常の労働者のおおむね4分の3以上あることが前提です。

この「4分の3」というのは、法律で決まっている基準ではありません。

社会保険の加入は雇用主が行うので、一般論では雇用主(=派遣会社)の従業員との比較において行われるのが原則ですが、現実には、派遣元会社に「同種の業務」を行う労働者がいるとは限りませんし、労働者本人が「4分の3」かどうか判断するすべがありません。

このため、実務的には、派遣先の労働者との比較で、加入資格の判断が行われることになります。

社会保険は派遣元で加入

派遣労働者の社会保険への加入手続きは派遣元で行います。

派遣元は派遣先の企業に、スタッフの社会保険加入の有無について通知することになっています。

登録型派遣労働者の場合、派遣期間が終了してから、次の派遣就労が開始するまでの間に、無就労の期間が生じることがあります。

派遣労働者は、派遣期間が終了したら、この無就労の期間の長短にかかわらず、任意継続保険に切り替えるか、派遣元の健康保険を脱退して国民健康保険に加入しなおさなければなりません。

このように、現行の社会保険制度の枠組みにおいては、派遣労働者は、派遣期間が終了するたびに、煩雑な手続きを取らなければなりません。

そこで、派遣期間が終了し、次の派遣就労が開始するまでの間に無就労の期間が生じても、一定の要件を満たせば引き続き健康保険の被保険者資格を失うことなく保険証を使うことができるなど、派遣労働者が加入しやすい仕組みを持った人材派遣健康保険組合(はけんけんぽ)が平成14年5月に設立されました。

なお、社会保険への加入を希望する派遣社員の時給をカットすることは、違法となります。

社会保険料の事業主負担額があることを理由に、社会保険への加入を拒否したり、国民健康保険、国民年金への加入を勧める、事業主負担分を労働者に押し付ける等といった、雇用主としての責任を怠った派遣元もいるようです。

しかし、すでに述べたように、派遣元の判断で、労働者を社会保険へ加入させる、させないという判断はできません。もし、社会保険について不明な点がある場合には、日本年金機構に相談してみるとよいでしょう。

派遣社員の健保、20万人突破 発足2年で加入者倍増

派遣社員を対象とする人材派遣健康保険組合の被保険者が発足2年で当初の倍となり、先月末に20万人を突破した。全国の健保組合ではNTT、日立製作所に次ぐ3位。財政難で解散する健保組合が相次ぐなか、拡大ぶりが際立つ。企業が正社員を減らし、派遣に切り替えるという雇用形態の変化を映している。

派遣健保は02年5月に被保険者約10万6,000人(派遣会社約110社)でスタートし、今年3月末に約18万7,000人。さらに先月末には前年同期比52%増の20万6,301人と増え続けている。

2位の日立の約23万人を抜くのも時間の問題という勢いだ。

被保険者は平均年齢31歳、女性が9割、独身が6割とされる。医療費の支出がそれほど多くないため、保険料の水準は政府管掌健康保険(政管健保)の給料の8.2%(労使折半)より低い6%に抑えられている。

派遣社員が次の仕事まで2ヶ月間、割安の自己負担で加入資格を維持できる任意継続制度も魅力になっている。

また、今年3月から派遣元の人材会社は、派遣社員が派遣健保(または政管健保)と厚生年金に加入していることを派遣先に通知する義務が厳しくなり、加入が増えている面もある。

ただ、厚労省によると02年度の派遣労働者数は、長期に働いている前提で試算した常用換算で69万人。このため派遣健保への加入者が増えているとはいえ、依然として多くの未加入者がいるとみられている。

これは派遣社員を派遣健保(または政管健保)に入れると、厚生年金にも自動加入になり、それに伴う事業主負担を避けようとする人材派遣会社が少なくないためとされる。

派遣社員の側も社会保険の負担をせず、国民健康保険(国保)に入って、国民年金には入らないという選択をする面がある。

(.asahi.com 2004.7.19)


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