パートタイム労働者と賃金
正社員と異なる取り扱いも違法ではない
正社員とパート労働者、臨時労働者とで労働条件について差を設けるのは不当であるという考え方もありますが、正社員は原則として定年まで勤務し、企業の基幹的要因になることを前提に雇用されるものであるのに対し、パート労働者、臨時労働者にはそのような前提はなく、補完的・臨時的要員として雇用されるのが一般であり、雇用形態が異なっています。
したがって、このように雇用形態の違う者について労働条件について異なった取り扱いをすることは必ずしも違法とはいえません。
帝倉荷役事件 東京高裁 昭和48.12.13
控訴人被控訴人間の雇用関係は、・・・常雇の正社員とは異なる臨時の有期雇用契約によるものであり、かかる臨時労務者について正社員と異なる就労時間を定めたとしても、その差異は上記労働契約の内容自体に基づくものであって前述のような臨時的雇傭関係の性質上許容されるべきものということができ、右のような定めをした前示労働協定および就業規則がただちに憲法14条、労働基準法3条にいう社会的身分による差別的取扱いをしたものということはできず、また民法90条にいう公序良俗に反するものということもできない。
「同一労働、同一賃金」という考え方も理念として存在しますが、実際の法律上には存在しないものであり、労働の価値を客観的に判断するのは困難でもあります。