業務委託契約

受託した業務遂行は、請け負った者の判断で行われる

業務委託契約は、法律行為以外の事務を行うことを受諾した者が自分の責任・管理の下で、その事務処理を行うことを約束する契約をいいます。(民法656条)

つまり、業務委託契約はまかされた事務の処理が目的となり、労務の提供そのものは目的とはならないのです。

注文者が受託業者の労働者を直接指揮命令することはできません。

そのため、個人と業務委託と称する契約を結んだとしても、会社がその者を指揮命令して労務に服させているなど使用従属労働を行わさせている場合には、労働契約とみなされます。


請負と業務委託

請負とは

仕事の完成を依頼し、完成した仕事に対して代金を支払う形態です。

注文者が請負業者の労働者を直接指揮命令することはできません。

請負の雇用関係と指揮命令関係

請負の雇用関係と指揮命令関係

業務委託とは

事務処理など業務の処理を委託する形態です。

注文者が請負業者の労働者を直接指揮命令することはできません。

業務委託の雇用関係と指揮命令関係

業務委託の雇用関係と指揮命令関係

請負と業務委託のチェックポイント

請負と業務委託については、下表について確認が必要です。

(1) 労働力を供給してもらうことが目的となっていないか
(2) 請負関係にある者を直接指揮命令していないか
(3) 請負契約とする場合は、仕事の完成を請け負ってもらい、その仕事に対して報酬を支払う形態であり、仕事の遂行手順や労働者の振り分けなどを業者側の裁量によって決定できることになっているか
(4) 業務委託契約の場合は、事務処理など業務の処理を委託する形態であり、仕事の遂行手順や労働者の振り分けなどを業者側の裁量によって決定できることになっているか
(5) 請負関係にある者の出退勤時刻の管理や残業の指示などの時間管理、当該労働者の業務遂行に関する評価などの雇用管理に関わっていないか。
(6) 法に特別の定めがある場合を除き、請負関係にある者の服務規律に関する指示その他の管理や配置の決定・変更を行っていないか
(7) 業務の遂行方法や、請負関係にある者の仕事の割り振り、調整などを行っていないか
(8) 請負または委託した業務を遂行するために必要な機械、設備、器材(業務上必要な簡易な工具を除く)、材料、資材は、請負関係にある者が用意しているか。または、発注者がこれを貸与する場合は、別途双務契約を締結し、それに基づいて貸与しているか。

機械設備の借り受け

業務委託として独立性を判断するにあたっては、業務に必要な機械・材料等の使用・借入・購入について、別個の双務契約を結ぶべきだとされます。

双務契約とは、契約当事者双方が相互に対価的関係をなす法的義務を課する契約です。結果的には後日委託料の中で調整するようにすることになろうかと思います。

現実には、「自分の会社が所有する機械を請負業者に使用させる場合に、月々いくらでリースする」といった契約条項をうたっていない場合が多いとは思いますが・・・。

賃借関係を結ぶということは、業務処理を請け負った者が独立の占有者になります。そうすると、機械などの瑕疵・欠陥で損害が生じた場合には、民法717条の「工作物責任」として、第一次的には占有者(請け負った側)が責任を負うこととなります。

これにより、万一の場合の、発注元のリスクを減少させることもできます。


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