クーリング期間

雇用の継続がないと見なされるには、最低3ヶ月が必要

派遣の中断があった場合でも、派遣就業の終了の日から、次の派遣就業の開始の日までの期間が3ヶ月以下の場合は、労働者派遣を継続して行っているものとされます。

逆に3ヶ月を超える場合には、「継続して」には該当しません。

労働者派遣を受けていた派遣先が、就業の場所ごとの同一の業務に新たに労働者派遣を受ける場合には、前回労働者派遣を受けることが終了した日から新たな労働者派遣を受ける日との期間が3ヶ月以上ある場合には「継続して」に該当しないとされています。

派遣が継続していると見なされるケース

クーリング期間3ヶ月未満の場合


派遣が継続していると見なされるケース

派遣が継続しているとは見なされないケース

クーリング期間3ヶ月以上の場合

派遣が継続しているとは見なされないケース

意図的に3ヶ月の間隔を設定して「継続」と見なされることを回避するのは、法の趣旨からいって好ましいことではありません。

労働者派遣の役務の提供を受けていた派遣先が新たに労働者派遣の役務の提供を受ける場合には、当該新たな労働者派遣の開始と当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣の終了との間の期間が3月を超えない場合には、当該派遣先は、当該新たな労働者派遣の役務の受入れの直前に受け入れていた労働者派遣から継続して労働者派遣の役務の提供を受けているものとみなすこと。

(派遣先が講ずべき措置に関する指針 第2-14-(3) 労働省告示 1999年第138号)


派遣先から派遣元への通知

一般的派遣の場合、雇用申入れの義務は派遣労働者や派遣元会社を替えても通算されます。

しかし、派遣元としては、そういう派遣が以前あったかどうか、分かりません。

そこで、派遣元がこの制限を超えて派遣を行わないようにするために、派遣先に「いつ」その制限期間が来るのか確認しなければならなくなります。

このため、あらかじめ派遣先は派遣元に対して、この日を通知することが義務づけられています。派遣開始後、期間を変更した場合も同じです。

労働者派遣法 第26条(契約の内容等)

労働者派遣契約(当事者の一方が相手方に対し労働者派遣をすることを約する契約をいう。以下同じ。)の当事者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者派遣契約の締結に際し、次に掲げる事項を定めるとともに、その内容の差異に応じて派遣労働者の人数を定めなければならない。

・・・

5. 第40条の2第1項各号(※注:労働者派遣期間の定め)に掲げる業務以外の業務について派遣元事業主から新たな労働者派遣契約に基づく労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、第1項の規定により当該労働者派遣契約を締結するに当たり、あらかじめ、当該派遣元事業主に対し、当該労働者の役務の提供が開始される日以後当該業務について同条第1項の規定に抵触することとなる最初に日を通知しなければならない。

・・・

通知がなければ派遣禁止

派遣元では、この規定による通知がないときは、通知をしない派遣先との間で、派遣契約を締結してはならないとされています。(派遣法26条6項)


派遣期間制限の通知(例)

派遣期間制限の通知(例)

派遣先での正社員化は妨害できない

派遣先から社員にならないかと言われたとき

受け入れた派遣社員が有能である場合、派遣先がこの者を正社員に採用したいと希望する場合があります。

スタッフが派遣先に雇用されることを禁じてはならない

派遣元は、派遣期間終了後、派遣先会社が派遣スタッフを採用することを妨害・禁止することはできません。

労働者派遣法33条は、派遣契約に次のような内容を記載することを禁止しています。

  1. 派遣先が派遣スタッフを雇用することを禁止する内容(※派遣契約期間中については、二重契約になりますので、禁止も可能だと考えられます)。
  2. 派遣先が派遣スタッフを特定することを目的とする内容
  3. 派遣スタッフの性別や年齢を特定すること

留意しなくてはならないのは、解約期間の途中での直接雇用です。

派遣先の社員となることを理由として契約を打ち切ると、契約不履行としてクレームを付けられ、場合によっては損害賠償請求されることがあります 。

ホクトエンジニアリング事件 東京地裁 平成9.11.26

 派遣労働者を派遣先で雇用するために派遣契約の更新を拒絶する場合は、高額の解約料(約260万円)を求めるという契約を結んだ場合。派遣法33条の趣旨に照らして解約料の請求は無効とされた。


派遣期間が終わっても派遣元との雇用期間が終わっていないとき

派遣先から派遣満了で正社員にならないかと誘いを受けたとしても、派遣元とは期間の定めのない雇用契約であったり、あるいは雇用期間終了までにまだ間がある、という場合もあります。

こうした場合は、契約の実態にかなった方法で、派遣元との雇用契約をいったん終了させ、そのうえで派遣先社員として採用されるという段取りをつけないと、トラブルにつながります。

直接雇用を了知しないままだと、派遣元が次の派遣先企業へ打診を開始し始めていることもあるのです。

派遣元としても、労働者を強制的に会社につなぎ止めることはできませんので、派遣先での直接雇用が決まったならば、できるだけ早期に派遣元・派遣先が話し合い、問題が生じない方法で解決する手だてを考える必要があります。


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