在籍専従

在籍専従とは

一般に、従業員の身分を存続させながら組合の業務に専念することを在籍専従制度といいます。

休職制度を整備して、在籍専従を認めることが可能です。

使用者が在籍専従者に賃金を支払うことに対して、これが経費援助に当たるかどうかについては、具体的危険性がなければ不当労働行為にならないという説と、法律が禁止する経費援助に当たるという両説があります。

国は、在籍専従者は、労務提供を免除されるので、使用者に対する賃金請求権を有しないことになるとしており、労働協約で双方納得の上賃金を支給した場合でも、不当労働行為にあたるという見解です。(労働省発労第33号 昭和24.6.9)

ただし、専従期間等を、出勤日数、昇給年限、勤続年数等に算入するか否かは、組合と使用者で自主的に決定されるべき問題であって、算入自体は「経理上の援助」には該当しないとされます。(労収第6374号 昭和24.8.15、同旨 労収第7316号の2 昭和24.9.12)

なお、退職金算定にあたり、専従期間を勤続年数に算入することについては、違法ではないとした判例があります。(岡山電気軌道事件 岡山地裁 平成3.1.29)


労働協約の例 (在籍専従)

第○条(組合専従者)

会社は、組合が組合員○○○名あたり1名の割合で在籍専従者をおくことを認める。

2 組合は前項の専従者の氏名、役職名等必要な事項を会社に通知するうものとする。

3 専従者の専従期間は、原則として1年とし、会社の承認を得て期間を延長または変更することができるものとする。

4 従業員である組合員が上級機関及び組合が加盟する労働団体の役職員として専従するときは、事前に会社に協議するものとする。


第○条(専従期間中の取り扱い)

専従者の人事、その他の取り扱いは次のとおりとする。

(1) 専従期間中は休職とする。

(2) 専従期間は勤続年数に算入する。

(3) 専従期間を終了したときは、原則として、専従開始当時の職に復帰する。

(4) 専従期間中の異動はこれを行わない。ただし、退職又は解雇については、専従期間中であっても一般組合員と同様に扱う。

(5) 専従期間中は賃金、臨時の給与、賞与等は一切これを支給しない。ただし、慶弔に関する事項は、これを一般組合員と同様に取り扱う。

(6) 専従期間中は、昇給、昇格、昇進の実施は保留する。ただし、専従期間中に一般組合員に昇給が行われたときは、復帰後組合員の平均昇給額を基準として臨時に昇給を行う。

(7) 健康保険、厚生年金保険、雇用保険の保険料の事業主負担分は組合がこれを負担し、保険関係事務は会社が行う。

(8) 専従前に発生した年次有給休暇請求権の時効消滅は中断するものとする。

(9) 福利厚生施設の利用については、一般組合員と同様に取り扱う。

(10) 専従者は、会社の就業時間中は組合用務といえども許可なく作業場に立ち入ってはならない。


ページの先頭へ