使用者の利益代表者

役員と人事権限を持つ者など

労働組合法第2条但し書き1号の使用者の利益代表者とは次の場合をいいます。

(1) 役員
(取締役、監査役、理事等)
(2) 人事に関し直接の権限を持つ監督的地位にある者
(人事部や労務部の部・課長等。人事に関しかかる権限を持つ者であれば、技術・営業・経理・生産等の部門の部・課長等も含まれるとされているが、権限を有していても監督的地位にない者は含まれない)
(3) 労働関係上の機密の事項に接し、そのために職務上の業務と責任とが組合員としての誠意と責任に直接抵触する監督的地位にある者
(人事・労務部の管理職者等)
(4) その他使用者の利益を代表する者
(社長秘書、守衛等。ただし、単に施設を巡視するに過ぎない守衛は含まれない)

判断は実質的に

これら使用者の利益代表者にあたるか否かは、当該労働者が組合に加入することにより、その自主性が損なわれるか否かを標準として、当該労働者の職制上の名称等にとらわれることなく、その職務の実質的内容を検討して判断すべきとされています。(柄谷工務店事件 神戸地裁尼崎支部 昭和59.6.15、大阪高裁 昭和60.3.19、寿紡績事件 大阪地裁 昭和38.4.5)


労働組合員の範囲

組合員・非組合員の範囲は、使用者と労働組合が労働協約をもって定める場合が多いようです。

上記利益代表者を含めないのは当然ですが、その他、どの範囲までを組合員とするかは、労働組合の自主的な判断を前提として決められるべき問題です。

東京地労委(日本アイ・ビーエム)事件 東京地裁 平成15.10.1

部下を持たない管理職は労組法第2条但し書き1号の利益代表者には該当せず、会社側の同人らが組合に加入すること等を妨害する行為は労組法第7条3号の不当労働行為に該当するから、これを否定して救済申し立てを棄却した本件命令は違法であり、取り消す。


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