組合の統制権

組合員にも個人の自由がある

労働組合は団結して行動するものであるので、組合員の行動に対し一定のコントロールを行いますが、組合員にも個人としての自由があるので、いかなる統制も許されるというわけではありません。

内部からの組合批判も、言論の自由の保障と組合民主主義の観点から最大限尊重されなければなりません。

厚木自動車部品事件 横浜地裁 昭和62.9.29

組合批判は原則として自由であるが、批判の内容・時期等からして組合の団結・秩序維持に影響を及ぼすおそれがある場合には統制の対象となる

全電通京都支部事件 京都地裁 昭和52.3.22

組合批判が名誉毀損にわたるものであったり、悪意の中傷や事実を歪曲するものであれば、それは統制権の対象となる

三池美唄炭坑労組事件 最高裁 昭和43.12.4

組合の方針に反した政治活動を行う組合員に対し、その断念を勧告・説得することは許されるが、そのことを理由とした処分は統制権の限界を超えるものだとしている。

(同旨 中里鉱業所労組事件 最高裁 昭和44.5.2)

アサノ運輸労働組合事件 東京地裁 平成15.5.23

脱退組合員らの積立金返還請求を認容。

組合への積立金は組合に委託した預託金というべきものであり、組合規程による「退職、死亡等の事由」には、組合員の脱退も含まれるというべきである。


違法とされる組合活動はできない

公労法違反の争議行為への参加について、組合員に強制することはできないという判例があります。(国労広島地本事件 最高裁 昭和50.11.28)


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