請求手続

請求の主な流れ

破産の場合

  1. 裁判所、破産管財人等から、その企業の労働者であり、未払賃金があることなどを証明する書類をもらう

  2. 労働基準監督署へ申請し確認を受ける

  3. 労働者健康安全機構に請求

中小企業の事実上の事業停止の場合

  1. 事業主が立替払いの要件に該当していることについて、労働基準監督署の認定を受ける

  2. 未払賃金の額等について労働基準監督署の確認を受ける

  3. 労働者健康安全機構に請求


倒産した事業地の監督署に申請する

退職の日の翌日から6か月以内に、倒産した事業地の労働基準監督署長あてに、以下の事項を書いて「認定申請書」を提出し、労働基準監督所長の認定を受けることになります。

  1. 事業活動が停止していること
  2. 再開する見込みがないこと
  3. 給料の支払能力がないこと

破産等の場合

次の証明者から、破産等の申立日・決定日、退職日、未払賃金額、立替払額、賃金債権の届け出額等を証明する「証明書」の交付を受けます。

(証明者)

(a) 破産・会社更正の場合・・・管財人

(b) 民事再生の場合・・・再生債務者(管財人が選任されている場合は管財人)

(c) 特別精算の場合・・・清算人

(d) 会社整理の場合・・・管理人

証明者は、以下の証拠書類各1部を、労働者健康安全機構に送ります。
((4)(5)(6)については、証明者の証明印を押印したもの)

(1) 破産等の申立書の写
(本文の申し立ての理由の部分・日付の部分)
(2) 裁判所の破産等の決定書の写
(3) 商業登記簿謄本の写
(4) 退職手当の未払があるときは、退職手当規定及び退職手当の計算明細一覧表
(5) 退職月を含む賃金台帳の写
(6) 賃金計算期間の中途で退職した場合の未払賃金
(算出方法は日割計算)の計算書の写

未払賃金額を裏付ける書類については、何月分いくら、支払日はいつ、ということも書いてあると都合がよいでしょう。

事実上の倒産の場合

倒産した企業の本社を管轄する労働基準監督署長に「認定申請書」を提出して、企業が倒産して事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ、賃金支払能力がないことについて認定を受けます。

  • ただし、他の退職労働者がすでにこの認定を受けているときは不要です。
  • 倒産の認定と申請することのできる期間は、倒産した企業を退職した日の翌日から起算して6ヶ月以内です
    (たとえば、退職した日を平成14年2月10日とすると、「認定申請書」は、その翌日の2月11日から8月10日までの間に、労働基準監督署長に提出しなければなりません)。
  • 前記の倒産の認定を受けた後に、労働基準監督署長に「確認申請書」(未払賃金の立替払事業様式4号)を提出して、認定の申請日、認定の日、退職日、未払賃金の額及び立替払額等についての「確認通知書」(未払賃金の立替払事業様式第7号)の交付を受けてください。
(1) 債権者会議等での精算決定を示す書類
(2) 不動産の状況及び不動産に対する抵当権の設定状況についての登記簿
(3) 経営所長簿(写)、賃金台帳(写)、解雇辞令(写)、出勤簿(写)、労働者名簿(写)
(4) 税・社会保険料の納入状況を示す書類(写)、
営業に関する届出書類(写)、商業登記簿(写)、その他

立替払の請求書の提出

証明書(倒産等の場合)、確認通知書(事実上の倒産の場合)の交付を受けたときは、その書類の左半分に印刷されている「未払賃金の立替払請求書」(未払賃金の立替払事業様式第9号)及び「退職所得の受給に関する申告書・退職所得申告書」に必要事項を記入し、これらの書類を合わせて、労働者健康安全機構に提出します。


立替払の支払

労働者健康安全機構では、提出された「未払賃金の立替払請求書」等の書類を審査して、請求の内容が法令の要件を満たしていると認められるときは、請求者が指定した金融機関を通じて立替払金を支払います。


実施機関

労働者健康安全機構 (担当:産業保健・賃金援護部 審査課)

〒212-0013
神奈川県川崎市中原区木月住吉町1番1号
Tel. 044 (431) 8663

お問い合わせは、上記事業団又は労働基準監督署へ


その後の弁済は

使用者の義務が免除されるわけではありません。

立替払をしたときは、民法499条1項の規定により、労働者健康安全機構が、立替払金に相当する額について立替払を受けた労働者の賃金債権を代位取得します。

そして、破産等の場合は、裁判所に対して債権者名義変更届出等を行うとともに管財人等に対し弁済請求をし、事実上の倒産の場合は事業主に対して弁済請求をします。


手続きは早めに

この制度は賃金不払いで困っている労働者には心強いものですが、認定を行う労働基準監督署としても「本当に倒産したのか」「不払い額はいくらなのか」きちんと調査しなければならないので、「労基署への申請イコール立替払い」というわけではありません。

また「倒産認定申請日の6ヶ月前の日以降に退職した労働者が対象」ということは、倒産と同時に退職したような場合、倒産から6ヶ月以内に申請(単に形式的に申請書を書いて出しても申請したことにはなりません。労働基準監督署の調査が終わり、きちんと確定した内容が記載されている必要があります)をしなければ対象外、手遅れということになります。

労働基準監督署では、「倒産、不払いあり」と聞くと、まず労基法24条違反として取扱い、経営者に対してすみやかに支払うよう行政指導を行うのが一般的です。

経営者が支払の意思を表している場合、売掛金等支払のための財産がある場合などは、自主的に支払いの可能性ありと判断されて、簡単には倒産の事実や未払額について認定ができません。

とは言え、いつまでも調査を続け、倒産認定申請書を内容不備で受付をしないでいると、退職から6ヶ月の期限を過ぎてしまうので、期限には間に合うよう、倒産認定事務を行っているようです。

また、倒産認定だけでなく、未払額の認定も行いますので、労働者が実際の支払いを受けるまでには相当な期間がかかってしまうのが実態です。

手続を少しでも早く進めるには、労働基準監督署に一日も早く連絡をとってあるがままを話し、指示に従いながら、関係書類を提出した方がよいでしょう。

立替払制度は最後の手段ですが、手続の方は最初に手を付けておく必要がありそうです。


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