出産後も働き続けるために

育児時間

生後1年未満の乳児を育てる女性労働者は、1日に2回それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求できます(労働基準法第67条、男性は対象にはなりません)。

2回分の育児時間を分けずに、1回にまとめて1時間取得することも可能です。

使用者があらかじめ一方的に育児時間の時間帯を指定して、勤務時間の始めまたは終わりに請求した場合に、これを与えないことは、労基法違反となります。

なお、育児時間中の賃金支払いについても、法の定めはなく、労使の話し合いにまかせられています(ILOは103号条約で、報酬の支給を求めていて、有給となっている事業所も少なくありません)。

関連事項:育児休業


勤務時間の短縮等

法律上、事業主は次のいずれかの措置を講じなければならないと定められていますから、勤務時間の短縮等の措置を受けられます。

  1. 短時間勤務制度
  2. フレックスタイム制度
  3. 勤務時間の繰り上げ・繰り下げ(時差出勤)
  4. 所定外労働の制限
  5. 社内保育施設の利用等

これらの制度は、期間を定めて雇用されている人も対象となります。


事業主の講ずべき措置一覧

事業主は、その雇用する女性労働者が健康診査等に基づく指導事項を守ることができるようにするため、その女性労働者からの各申出に対して、次のような措置を講じなければなりません。(男女雇用機会均等法第12条、13条、平9.9.25 労働省告示第105号)

時期 女性労働者からの
申し出
事業主の講ずるべき
措置
その他
妊娠中 妊娠中の女性労働者から、通勤に利用する交通機関の混雑の程度が母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師等により通勤緩和の指導を受けた旨の申出があった場合 ・時差通勤
・勤務時間の短縮
・交通手段・通勤経路の変更
・その他必要な措置
医師等による具体的な指導がない場合においても、妊娠中の女性労働者から通勤緩和の申出があったときは、担当の医師等と連絡をとり、その判断を求める等適切な対応を図る必要がある。
妊娠中の女性労働者から、当該女性労働者の作業等が母胎又は胎児の健康保持に影響があるとして、医師等により休憩に関する措置についての指導を受けた旨の申出があった場合 ・休憩時間の延長
・休憩回数の増加
・休憩時間帯の変更
・その他必要な措置
医師等による具体的な指導がない場合においても、妊娠中の女性労働者から休憩に関する措置について申出があったときは、担当の医師等と連絡をとり、その判断を求める等適切な対応を図る必要がある。
妊娠中・
出産後
妊娠中又は出産後の女性労働者から、健康診査等に基づき、医師等により、つわり、妊娠中毒、回復不全等の症状等に関して指導を受けた旨の申出があった場合 医師等の指導に基づく措置
・作業の制限
・勤務時間の短縮
・休業
・作業環境の変更
・その他必要な措置
医師等による具体的な指導が不明確な場合には、担当の医師等と連絡をとり、その判断を求める等により、作業の制限、勤務時間の短縮、休業等の必要な措置を講じなければならない。

その他の留意事項

  1. 事業主は母性健康管理指導事項連絡カードの利用に努めること
  2. 事業主は、妊娠中又は出産後の女性労働者のプライバシーの保護に特に留意すること

育児支援 企業の義務に

厚生労働省は少子化対策の一環で、従業員300人を上回る企業に対し、育児休暇の取得を従業員に促すなど子育て支援の具体策や数値目標を盛り込んだ行動計画の作成を義務づける。

来年1月召集の通常国家に法案を提出、2005年度からの計画開始を想定している。

達成した企業を公表して実現を確実にしたい考えで、仕事と出産や子育てを両立しやすい企業への改革を促す。

休暇・残業に目標 厚労省法整備へ ―従業員300人超 対象―

厚労省が検討しているのは「次世代育成支援対策推進法案」(仮称)。

企業ごとに行動計画をつくるよう求め、育児休暇を取る従業員の比率、子育て期間中の平均残業時間の上限、在宅就労制度の創設など具体策や実現時期といった数値目標を明記させる。

10年間の時限立法とし、将来の社会保障の担い手を集中して育てる。

子供が1歳に満たない間に最長1年の範囲で休職を認める育児休暇を取った人の割合は1999年度で女性が57.9%、男性は0.55%どまり。

行動計画では例えば「休暇を取った男性社員の割合を10%に高める」などの目標と立てさせる。

個別の具体策・目標の設定は各企業に委ね、複数の選択肢から従業員の実情に合った内容を選べるようにする。

行動計画の作成は従業員が300人を上回る企業には義務とする。

厚生労働省の地方出先機関(労働局)への計画の届け出義務を課す。

従業員300人以下の企業には負担となることに配慮、行動計画の作成を目指すよう求める努力義務にとどめる。

計画の開始は2005年度とする方向で、計画の期間は2~5年の範囲で企業が独自に決める。

少子化対策に関する企業行動計画のイメージ

分野 具体策 目標
取得率向上 ・育児休業休暇制度の改善
・制度の周知、好事例集の配布
・推進委員会の設置
・負担軽減(育児費用補助等)    他
取得率を○○%
両立環境整備 ・子の看護のための休暇制度
・子育て期間の残業時間縮減
・短時間勤務や隔日勤務
・在宅ワーク制度          他
○年度までに創設
平均○時間以内
○年度までに創設
○年度までに創設
意識改革 ・長期休暇の取得促進
・管理者への研修実施
年間平均○人以上
全管理者に実施
その他 ・バリアフリーの推進
(授乳コーナーの設置、トイレの改修他)
○年度までに実施
・地域社会貢献活動
(地域協議会への参加、事業所内保育施設の一般開放)
○年度までに実施

「優良」社名を公表

計画期間終了後に目標を達成できない企業への罰則は設けないが、子育て支援に成果を上げた優良企業を「対策推進事業主」と認定する仕組みをつくり、企業が対策に積極的に取り組むよう促す。

計画作成を義務づけられる従業員300人超の企業は全国で1万以上ある、労働者数では全国の約4割。

計画が実現すれば出産・育児に追われる男女のサラリーマンが恩恵を受けやすくなる。

企業にとって従業員の総労働時間の減少となり生産低下を招きかねないだけに、「競争力を損なう」と難色を示す声もある。

一方、トヨタ自動車が来年4月に本社内に託児所の設置を予定するなど、優秀な人材を確保しようと子育て支援に動く企業も増えており、「仕事と子育てを両立できる企業」を競い合うことも予想される。

(日経新聞 2002.12.25)


扶養控除の還付金

赤ちゃんが生まれると家族が増えるため手続きをすることで所得税が安くなります。

ところが赤ちゃんが生まれる前に所得税を支払っている場合は税金の控除額が低く、当然払いすぎとなります。

サラリーマンはふつう、会社が税務署に還付金の手続きをしてくれ、「年末調整」としてお金を受け取ることができます。

しかし年末ギリギリで出産したときは、会社の手続きが間に合わないこともあるでしょう。

そんな場合は会社側が翌年1月末までに「扶養控除等(異動)申告書」を税務署に提出すれば、再調整してもらえます。

しかし、それにも間に合わなかった場合は自分で税務署に申告しなければお金は戻りません。

戻ってくるお金は、支払った所得税で決まります。計算方法は、扶養控除額×所得税率。

年末調整に間に合わず、そのままにしておくと払いすぎた金額を税金として納めてしまうことになります。

詳しくは所轄の税務署などの相談窓口におたずねください。


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