妊娠・出産・産休を理由の解雇

育児・介護休業法による解雇制限

育児・介護休業法第10条第16条では、事業主は労働者が育児休業・介護休業を申し出し、又は休業したことを理由として、当該労働者を解雇することはできません。

休業中の解雇がすべて禁止されるわけではありませんが、休業取得以外の正当な解雇理由があることが、十分に立証されない限り、その解雇は無効となります。

倒産による全員解雇以外には、立証はほとんど不可能と思われます。


産休中と出産後30日は解雇できない

労働基準法第19条では、産前産後の女子が労働基準法第65条によって休業する期間及びその後の30日間について解雇が禁止されています。

産前産後の休業を認めなかった場合は、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金(労働基準法第119条)となります。


男女雇用機会均等法による解雇制限

男女雇用機会均等法第9条で、事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはいけません。

また、事業主は、女性労働者が婚姻したことを理由として、解雇してはいけません。また、妊娠し、出産し、又は産前産後の休業をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。

結婚や出産した女性が、「有形無形の圧力」によってやむを得ず退職届を出してしまった場合、それは違法な解雇として無効になります。

また、単に「結婚したら退職するのが慣行だよ」というなど、圧力をかけたといえない場合でも、結婚等を理由とする退職の勧奨は違法となります。

有期雇用の場合、他の有期雇用者は契約更新されているのに、妊娠した女性だけ更新されなかった場合、妊娠を理由とするものとみなされますから、是正が必要です。

「妊娠で解雇違法」幼稚園元教諭が全面勝訴…大阪地裁

妊娠を理由に解雇されたのは不当として、大阪府内の私立幼稚園の元教諭(29)が、園を経営する学校法人と園長(46)を相手に、地位確認と未払い賃金などの損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、大阪地裁堺支部であった。

竹中邦夫裁判長は「(園長の)一連の行為は妊娠を理由とする中絶の勧告、退職強要および解雇であり、違法」として、元教諭の訴えを全面的に認め、慰謝料など250万円を含む計約660万円の支払いを園側に命じた。

判決では、元教諭が2000年7月に妊娠を告げたところ、園長は「出産や妊娠はこれからも機会がある」と暗に中絶を迫ったり、「妊娠という私事で仕事がまったくできない状態を作り出したのは、教師としても社会人としても無責任」と退職を迫ったりした末、9月20日に1ヶ月後の解雇を予告したと認定。

園側の「元教諭が園児の出席簿を作成しないなど、幼稚園教諭としての適格性に欠けるため解雇した」との主張については、他の教諭にも同様の行為が見られるとして、「職務怠慢とは言えず、解雇権の濫用にあたる」と退けた。

その上で「流産した後も、退職届の提出を執ように求められるなど、原告の精神的苦痛は著しい」とした。

判決後、会見した元教諭は「今年2月に第1子を出産したが、元の職場に復帰し、母親の立場で仕事ができるよう頑張りたい」と話し、長岡麻寿恵弁護士は「未払い賃金だけでなく、慰謝料が認められたのは画期的」と評価した。

園長の話「信じがたい判決。控訴も含め対応を検討したい」

(Yomiuri on line 2002.3.13)


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