育児休業制度とは

育児休業とは

満1歳(一定の要件を満たせば、1歳6ヶ月)に満たない子供を養育するために労働者が申し出た場合、使用者は育児休業を与えなければなりません。

平成7年度から、いわゆる育児・介護休業法により、育児休業制度が、全事業所を対象として義務化されました。

育児休業は事業所の規則の有無にかかわらず、また、事業主の許可を条件とすることなく、対象となる労働者が使用者に「休業申出書」を提出することによって取得することができます。

パートタイマーなどの名称で働いていたり、1日の労働時間が通常の正社員に比べて短い場合でも、かなり特殊な雇用契約でない限り、育児休業を取得できます。

有期雇用の場合も、一定の条件を満たすならば、付与しなくてはなりません。

平成22年より、労使協定を定めることにより、配偶者が専業主婦(夫)や育児休業中である場合等の労働者からの育児休業申出をを拒める制度が廃止され、専業主婦(夫)家庭の夫(妻)を含め、すべての労働者が育児休業を取得することができるようになりました。


育児休業の申し出

休業の申し出は、次の事項を記載した書面「育児休業申出書」を事業主に提出して行う必要があります。

必ず明らかにする事項

  • 申し出の年月日
  • 労働者の氏名
  • 申出に係る子の氏名、生年月日および労働者との続柄
  • 休業開始予定日および休業終了予定日
  • その他特定の場合に明らかにしなければならない事項もあり

申し出の回数は、特別の場合を除いて1人の子につき1回です。

労働条件の最低基準を罰則で強制するというものではありませんから、あくまで民事的効果を規定するにとどまります。

会社は要件を満たした労働者の申し出を拒否できませんが、休業中の勤務分担などについて会社や周囲と話し合うことも有益です。

また、会社に法律(育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)の内容を確認してもらうのがよいでしょう。

1ヶ月前の申出が遅れた場合は、事業主は労働者が休業開始日を指定できます(遅れたから取らせないという取り扱いはできません)。

この場合、休業開始を希望する日から、申し出の翌日から起算して1ヶ月を経過する日までの間で、休業開始日を指定することになります。事業主は、申し出の翌日から3日以内に、指定する日を書面で労働者に交付してください。

なお、特別な事情がある場合は、休業開始日の1週間前でも開始が認められます。特別な事情とは、子供を早く出産した、配偶者が死亡した、配偶者が負傷・疾病で育児困難になった、配偶者が子と同居しなくなった場合です。


育児休業の期間

特別な事情がない限り1子につき満1歳になるまでの連続した一期間(実子と養子の双方)を取得することができます。

年齢の考え方

子が1歳に達するのは、民法第143条に基づく期間の計算(暦日計算)および「年齢計算ニ関スル法律」により、いわゆる誕生日の前日の午後12時

(例)

8月6日生まれ=満1歳に達するのは8月5日の午後12時(11時59分60秒)

パパママ育休プラス(平成22年改正)

(1) 母(父)だけでなく父(母)も育児休業を取得する場合、休業可能期間が1歳→1歳2ヶ月に達するまで(2ヶ月分は父(母)のプラス分)に延長されます。

(2) 配偶者の出産後8週間以内の期間内に、父親が育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくても、再度の取得が可能となります。

一定の場合は、1歳から1歳6ヶ月の期間に関しても育児休業を延長できます。子の1歳の誕生日から両親で取得者を交替することもできます。

延長を希望する場合は、子供の満1歳の誕生日の2週間前までに申し出ます。

もちろん法律で1ヶ月前(2週間前)と規定された申出期間を、労働者の有利となるために「1週間前」などとすることは、差し支えありません。

休業開始の予定日については、出産予定日前の出生など突発的な事情の場合に、1回だけ繰上げ(早める)変更ができます。

また、休業終了予定日は理由を問わず1回だけ繰り下げ(延長)変更ができます。(育児・介護休業法第7条

なお、出産後56日間は、法律で働いてはいけないことになっていますので、雇用保険は対象になりません。そのかわり、条件を満たしていれば健康保険の出産手当金がもらえます。


育児休業の必要書類

育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

受給資格確認手続きは、育児休業給付金支給申請書を被保険者に代わって事業主が提出することとしている場合、最初に育児休業給付支給申請書を提出する際に同時に行うことができます。

受給資格確認と同時に初回の育児休業給付金の支給申請を行わない場合、「育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書」は、「育児休業給付受給資格確認票」としてのみ使用します。

また、払渡希望金融機関指定届が付いていますが、以前に雇用保険の他の給付の支給を口座振替によって受けていた人は、この口座を使用することができます。

雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書

給付金の算定の基礎となるもの。2枚目下に本人確認印欄があります。

育児休業給付金支給申請書

2ヶ月毎に申請。賃金月額証明書により算出された休業前賃金の67%(育児休業開始から6カ月経過後は50%)が支給されます。


会社に育児休業の規則がなくても取得できる

育児休業は会社の規則が無くても取得できます。使用者はこれを拒むことはできません。

育児休業を申出たこと、または休業したことを理由に解雇することは法律で禁止されています。

なお、事業主は労働者に、申出に係る子の出生等を証明する書類の提出を求めることができます(ただし、有期雇用者が労働契約を更新する前後で、引き続き休業をする場合は、書類の提出を求めることはできません)。


パートも取れる

1日の労働時間が通常より短い労働者(パートタイマー等)であっても、この法律の要件を充たせば、フルタイム労働者同様に、育児・介護休業を取得することができます。

「パートは対象外だから」と会社から言われた場合は、労使協定で定められている取得対象外でないことを確認し、定められた手続きをしてください。


男性でも取れる

育児休業は、男性も取ることができます。

女性は、産後8週間の休業が認められているので、育児休業はその終了後からとなります。男性は、子の出生した日から育児休業を取ることが可能です。

勤労者世帯の過半数が共働き世帯となっているなかで、女性だけでなく男性も子育てができ、親子で過ごす時間を持つことの環境づくりが求められています。

男性の約3割が育児休業を取りたいと考えていますが、実際の取得率は、平成26年は2.30%(2020年までに13%が目標)。男性が子育てや家事に費やす時間は先進国中最低の水準にあります。

男性が子育てや家事に関わっておらず、その結果、女性に子育てや家事の負担がかかりすぎていることが、女性の継続就業を困難にし、少子化の原因にもなっています。

そこで、平成22年に、以下の内容が改正されました。

  • パパ・ママ育休プラスの創設
    父母がともに育児休業を取得する場合、育児休業取得可能期間を、子が1歳から1歳2ヶ月に達するまでに延長されます。
    ただし、父母1人ずつが取得できる休業期間(母親の産後休業期間を含む)の上限は、現行と同様1年間です。
  • 出産後8週間以内の父親の育児休業取得の促進
    妻の出産後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合、特例として、育児休業の再度の取得を認めます。
  • 労使協定による専業主婦(夫)除外規定の廃止
    労使協定により専業主婦の夫などを育児休業の対象外にできるという法律の規定を廃止し、すべての父親が必要に応じて育児休業を取得できるようにします。

男性の育休取得率、1.23%に低下 政府目標は10%

厚生労働省が18日発表した08年度の雇用均等基本調査によると、育児休業の取得率は女性が前年度より0.9ポイント上昇して90.6%と初めて9割を超えた。一方で、男性は前年度より0.33ポイント低下して1.23%にとどまり、極めて低い水準が続いている。

育休取得率は、前年度の出産者(男性は妻が出産した人)のうち調査時までに育休を始めた人の割合。男性は05年度の0.50%よりは上昇したものの、政府が目標とする10%には遠く及ばない。取得期間も女性は10ヶ月以上が52%を占めるのに対し、男性は54%が1ヶ月未満と短い。

(asahi.com 2009.8.18)


待遇

休業期間中の賃金は法律上、有給・無給について特に定めがありません。

したがって、育児休業期間中は、事業主としては賃金を支払う義務はありません。もちろん支払うことは、さしつかえありません。

国は、給付金制度を設け、育児休業制度の円滑な運用を促しています。


人事考課への反映

育児休業の取得による不利益取扱は禁止されていますが、事実上出勤していないのですから、出勤していて働いている従業員と同等の扱いをすること自体、バランスを欠くことになります。

したがって、人事考課上マイナスの評価をすることが、ただちに法に抵触するとは考えられていません。

ただし、考課期間中に出勤しているにもかかわらず、育児休業を申出たことだけの理由で著しく低い評価をすることは、裁量を逸脱し不法だと評価されます。


育児休業申出書(例)

育児休業申出書

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