改正育児介護休業法解説レポート

令和4年4月1日、同10月1日、令和5年4月1日に改正育児介護休業法が段階的に施行されます。
法改正による新制度の導入方法について、詳しく解説したマニュアルを無料提供しています。
サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。

母性保護制度と退職の議論

産休・育休を取得して退職することの是非

退職することがわかっていながら産休・育休などを取得することの是非については、古くからたいへん多くの議論があります。

制度的に認められていることだから是認すべきだという立場もありますし、道義的に認められないとする立場もあり、一概に決めつけることは容易ではありません。

以下のやり取りに考え方が網羅されていますので、参考にされたらいかがでしょうか。

「産前産後休業」請求を、会社が断れるのですか?


お名前: まる

8ヶ月の妊婦です。産前産後休業を請求した場合、会社側が、「今後、継続して働く意志のある者以外には認めない」、などと理由を付けて、休暇を与えないことが出来るものなのでしょうか?

実際、通勤に片道2時間かかるので、産後休暇後、育児休暇を頂いたとしてもゼロ歳児の赤ちゃんを預けて、復帰は難しい状態なのです。

会社側は、それを承知で、「産後休暇後に退職するような者には、休暇は与えられない」と言ってきています。

私の産休開始は、4月20日で、辞表も提出していないのに、会社は、3月の頭から、「3月末で退社」の手続きをしているようでした。

会社が任意で入っている年金基金から、「3月末で退社する方へ」などという書類が届き、そのことが発覚し驚きました。

社内規則では、退職する場合は、14日前までに、所定の用紙を提出することとなっており、産休が認められなくて、4月20日に退社する事になっても、退職の手続きは、来月に入ってからでも違反ではないはずです。

このことは、総務に抗議したところ、「手違いがあって・・・」とか「あなたの上司が、そう言っていた」などど、ごまかされてしまいました。

しかし、産休のことは、相変わらず、「退社する人には、与えられないんですよ。」と言っていました。

私としては、育児休暇まで取って、会社を辞める事は、手続き上、もっと会社に迷惑が掛かるのではないかと思い、産後休暇を頂いた後、すぐに、退社するのが一番良いのではないか、と考えていました。

それならば、「働く意志がある」ということで、休暇をもらい、産後休暇に突入したら、体調不良を訴え、辞めてしまえば良いのかもしれない、と思ってみたのですが、法律で定められている休暇なのに会社が与えない、と言うのが納得できず、実際はどうなのかお伺いしてみたいと思いました。

[2002年3月21日]


お名前: りく

出産後は仕事を続けないつもりであれば、そもそも何のために産前産後休業を取得しようとされるのでしょうか?

法律の目的が実際にどこにあるのか分かりませんが、個人的には、出産後も仕事をしようとしている人が出産を理由に解雇されないように、女性の権利を守るための法律ではないかと思います。

確かに法律では定められていますが、仕事に復帰する意志のない人に休暇は認められないという会社側の言い分も、個人的には分からないでもない気がします。

出産手当金は、妊娠・出産のために勤務することができなく、その間の報酬の全部又は一部が支払われない場合、健康保険に継続して1年以上加入していた人であれば、退職後6ヶ月以内の出産も対象になりますから、休業前に勤務先で用紙をもらっておき、出産後医師及び事業主の証明をもらい、日本年金機構に申請することができます。

(平成19年4月より、退職後の出産手当金は廃止されました。)

また出産一時金も、健康保険および国民健康保険に加入している人か、その配偶者が分娩(妊娠4ヶ月以上)したとき、一人の出産につき、30万円の一時金が受け取れます。

以前は夫婦共働きの場合、双方で受け取れたこともあったようですが、夫婦どちらか一方しか受け取れません。

以上のことを考えると、産前産後休業を取らなくても特にこれといった問題は無いように思えるのですが、その他にも何か理由があるのでしょうか?

[2002年3月22日]


お名前: まる

ご回答、ありがとうございます。

確かに、会社側から見れば、「何の為に?早く辞めてください。」となると思います。

私も、迷惑を掛けない様、早く退社することも考えましたが、在職を長くすることで頂ける「お金」が異なってくることが分かり、頑張ろうと決めました。

産前産後中も、給料は出ますし健康保険からの一時金&手当金に、数十万円の付加金がプラスされます。

10年以上働いてきたので、最後のご褒美として、休暇やお小遣いを頂いて辞めてもバチは当たらないのではないか、と考えたまでです。

[2002年3月22日]


お名前: まる

追加です。

自分中心に、軽く考えていたのですが、周りに迷惑をかける結果につながるので早期に退社する方向で考えてみようと思いました。

色々と、ありがとうございます。

[2002年3月22日]


お名前: 丹羽

産前休業・・・

6週間 従業員が「請求」すると会社は断れません(労働基準法)。

有給にするか無給にするかは会社の自由です。

「健康保険組合」から「出産手当金」が標準報酬日額の3分の2支給(健康保険法)。

産後休暇・・・

6週間 法的に強制の休暇。会社、従業員、医師の判断関係無し(労働基準法)

有給にするか無給にするかは会社の自由です。

「健康保険組合」から「出産手当金」が標準報酬日額の3分の2支給(健康保険法)。

産後休暇・・・

2週間 出産から6週間経つと、医師の許可とあなたの意思があれば働けます。

会社が職場復帰を強制することはできません。(労働基準法)

有給にするか無給にするかは会社の自由です。

「健康保険組合」から「出産手当金」が標準報酬日額の3分の2支給(健康保険法)。

育児休業・・・子供が1歳になるまで(約10ヶ月)

従業員の「請求」があれば、会社は断れません(育児・介護休業法)

有給にするか無給にするかは会社の自由です。

「公共職業安定所」から「育児休業基本給付金」が30%支給。(雇用保険法)

【補足1】

産休、育休には「有給休暇」にあるような、会社の「時季変更権」はありません。

会社は断ることはもちろん、時季の変更をすることもできません。

【補足2】

育児・介護休業法では、「労使協定」がある時に"限り"「育児休業申請があった日から起算して1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者」の育児休業の申出を拒むことができます。

そういう「労使協定」を組合が結んだかどうか、上司ではなく組合に確認して下さい。

仮に「労使協定」があっても、育休後もあなたが働く意志を示せば良いではありませんか?

職場復帰するかどうかは、子供が1歳になってから、つまり、育休が終わる時に考えればよいでしょう。

遵法、合法の範囲内のアドバイスです。

「出るところに出ても、私が正しいんだ」、と思ってやって下さい。

駄目でもともとでしょう?

お母さんになるのですから、強くならなければいけませんよ。

[2002年3月25日]


お名前: 丹羽

あなたが、職場復帰する1年2ヶ月後を、考えて下さい。

その上司が有能なビジネスパーソンなら転職で退職しているかも知れません。

その上司が無能なビジネスパーソンならリストラで退職しているかも知れません。

[2002年3月25日]


お名前: りく

産休中にお給料が出て、その金額が通常の金額と同じであれば、出産手当金は支給されません。

出産によって働けずに無給状態、または減給状態の場合に、社会保険の標準報酬日額の3分の2が出産手当金として受け取ることができるのです。

もちろん減給の場合は3分の2から、もらえるお給料分の金額を差し引く形になるはずです。

もらえる金額の多い少ないという話で行けば、産休中に通常通りのお給料がもらえるなら、産休を取った方が多くもらえることになります。

ただ問題は、本人が出産後も働く気持ちがあるかどうかということです。

働くつもりでいても、ご本人の産後の体調や、生まれたお子さんの体調などもありますから、その時々の状況で対応は変わると思います。

他の方の書き込みにも書きましたが、育児・介護休業というのも使えるわけですから、実際にはお子さんが満1歳になる前日までは法的に休業ができるということです。

元々の書き込みに働く意志が無いというような印象を受けたので、ちょっと批判的な書き方をしてしまいましたが、丹羽さんの書き込みを見て、選択肢は広げておいても良いのではないかと思い直しました。

働ける状態ではないと決めつけないで、お子さんが満1歳になるまでに状況が変わる場合もあるかも知れませんから、その時に決めたら良いのではないでしょうか。

[2002年3月28日]


ページの先頭へ