改正育児介護休業法解説レポート
令和4年4月1日、同10月1日、令和5年4月1日に改正育児介護休業法が段階的に施行されます。
法改正による新制度の導入方法について、詳しく解説したマニュアルを無料提供しています。
サンプル条文や改訂例を参考に、就業規則の改訂を行ってください。
妊産婦の利用可能な制度
通院休暇
妊娠中、出産後の女性の健康管理のため、母子保健法による保健指導、健康診査を定められた期間ごとに受けるための通院の時間を与えたり、指導等に基づく通勤緩和・勤務の軽減などの必要な措置を講じなければなりません。
事業主が確保すべき日数
妊娠23週まで | 4週間に1回 |
妊娠24週から35週まで | 2週間に1回 |
妊娠36週から出産まで | 1週間に1回 |
産後(1年以内) | 医師や助産師が指示する回数 |
ただし、医師または助産師がこれと異なる指示を示したときは、その指示にしたがって、必要な時間を確保できるようにしなければなりません。
この通院時間に対する賃金の支払いについては、労使の話し合いによります。
確保すべき「必要な時間数」は直接の受診時間だけではなく、医療機関等での待ち時間や往復の時間も含み、女性労働者の通院が実質的に妨げられることがあってはならないとされています。
また、通院日や医療機関等の選択は、原則として女性労働者の希望によりますので、事業主が「会社近くの病院で受診し、通院休業を短時間にするよう」指示したり、「休業日の土曜日に受診できるのだから休業は不要」とすること等は許されないことになります。(基発695号 平成9.11.4、女発第36号)
申請の手続きについては、特に定められていませんが、書面が望ましいといえます。
通勤緩和
ラッシュアワー通勤等による苦痛がつわりの悪化や流産・早産等につながるおそれがあるとして、医師等から通勤緩和の指導を受けた旨の申し出が女性労働者からあった場合は、事業主は、時差通勤、勤務時間の短縮等の措置を講じなければなりません。
標準的なものとしては、始業時間および終業時間に各々30分~60分の時間差を設けたり、1日30分~60分の時間短縮が考えられます。
妊産婦に対する保護
使用者は、変形労働時間の適用を受けていても、妊産婦(妊娠中または産後1年を経過しない女性)が請求した場合は、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできません。
また、妊産婦が請求した場合には、時間外、休日または深夜労働をさせてはいけません。
ただし、妊産婦のうち、労働基準法第41条の管理監督者に該当する者は、労働時間に関する規定が適用されないことから、上述した時間外労働等の制限(深夜業は除く)は適用されないことになります。
また危険有害業務に妊産婦を就業させることはできません。(労働基準法第64条 罰則あり)
妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な業務に転換させなければなりません。
法65条第3項は原則として女性が請求した業務に転換させる趣旨であるが、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものでなない。
(昭和61.3.20 基発151号)
妊娠中の休憩
勤務の負担が妊娠の経過に影響を及ぼすとして、医師から休憩に関する措置について指導を受けたと女性労働者から申し出があった場合には、事業主は、休憩時間の延長、休憩の回数の増加等の措置を講じなければなりません。
臥床できる休憩室を設けたり、立作業従事の場合は、椅子をおいて休憩を取りやすいようにすることが望ましいと通達されています。