生理休暇

生理日における休暇

女性労働者が、生理日に働くことが著しく困難なときは、生理休暇を請求できます。

使用者は、この請求があったときはその者を生理日に就業させることはできません。

生理休暇取得にあたっては、医師の診断書等を提出する必要はありません。

原則として特別の証明がなくても女子労働者の請求があった場合には、これを与えることにし、特に証明が認められる場合があっても、この趣旨にかんがみ、医師の診断書のよう厳格な証明を求めることなく、一応の事実を推断せしめるに足れば十分であるから、例えば同僚の証言程度の簡単な証明によらしめるよう指導されたい。

(昭和23.5.5 基発682号、昭和63.3.14婦発47号)

休暇の請求は、就業が著しく困難である事実に基づき行われるものであることから、必ずしも暦日単位で行わなければならないものではなく、半日又は時間単位で請求した場合には、使用者はその範囲で就業させれば足りるものであること。

(昭61.3.20 基発151号 婦発69号)

また、使用者は生理休暇の日数を制限することはできません。

したがって「生理休暇は1ヶ月1日に限る」とか、「生理日の就業が著しく困難な女性が請求したときは1ヶ月2日に限って休暇を与える」という規定を設け、日数を就業規則で制限することは許されません。

取得は必ずしも暦日単位で行う必要はなく、半日単位・時間単位で請求があれば、その範囲で取得させることになります。

休暇の日数制限

生理日の就業が著しく困難な女子が休暇を請求する場合におけるその日数を1日あるいは3日と就業規則で限定することは如何。

法文上は日数の限定はないが、社会通念上妥当と認められる日数に制限することは差し支えないと思うが、客観的に妥当と認められる日数は何日程度であるか。

生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人によって異なるものであり客観的な一般基準は認められない。

したがって就業規則その他によりその日数を限定することは許されない。

ただし、有給の日数を定めておくことはそれ以上休暇を与えることが明らかにされていれば差し支えない。

(昭23.5.5 基発682号、昭63.3.14 基発150号、婦発47号)

生理休暇を取得した上で、日常業務以上に過激なスポーツ・レジャー等を行うと、権利濫用と判断される場合があります。

岩手県交通事件 盛岡地裁一関支部 平成8.4.1

業務上の繁忙により出勤要請を受けていたバスガイドが、たまたま生理となったので生理休暇を申請し、夫の運転する自動車に乗車し、深夜遠隔地(高速道路4時間)に旅行し、翌日の民謡大会に出場した事案。

「月経困難症であったとの証拠もないうえ、同日入っていた業務にはそれほど苦痛ではないものも含まれていたのであるから、生理日のため就業が著しく困難であったとはいえない」とされ、懲戒処分が認められた。

賃金の取り扱い

これらの休業・休暇を有給にするか無給にするかは、労使の取り決めによります。(昭和23.6.11 基発1898号、昭和63.3.14基発150号・婦発47号)

ただし、賞与や昇給の査定などで極端に不利に扱うことは法の主旨から許されないとされています。(日本シェーリング事件、最高裁 平成.1.12.14)

生理休暇を精皆勤手当の減額対象とするのも、主旨に反します。

ただし、生理日の休暇を取った場合、精皆勤手当を減額することが労働基準法に違反するかしないか、と聞かれれば、好ましくはないが違反するものではない、ということになるでしょう。

手当が手厚い賃金体系の中で減額幅が大きいとなると、法律上の権利行使の足かせと見なされる可能性は否定できません。

最高裁は、労基法第68条は生理休暇が有給であることまでも保障したものではなく、同条は生休取得日を出勤扱いにすることまでも義務づけたものではないので、その取扱いは労使間の合意に委ねられており、生休取得日を精皆勤手当支給要件上欠勤扱いとする制度は有効とする判決を出しています。

エヌ・ビー・シー工業事件 最高裁 昭和60.7.16

労働基準法67条(※改正前の生理休暇の規定)は、所定の要件を備えた女子労働者が生理休暇を請求したときは、その者を就業させてはならない旨規定しているが、年次有給休暇については同法39条4項(※現、第6項)においてその期間所定の賃金等を支払うべきことが定められているのに対し、生理休暇についてはそのような規定が置かれていないことを考慮すると、その趣旨は、当該労働者が生理休暇の請求をすることによりその間の就業義務を免れ、その労務の不提供につき労働契約上債務不履行の責めを負うことのないことを定めたにとどまり、生理休暇が有給であることまでも保障したものではないと解するのが相当である。

したがって、生理休暇を取得した労働者は、その間、就労していないのであるから、労使間に特段の合意がない限り、その不就労期間に対応する賃金請求権を有しないものというべきである。

また、労働基準法13条3項及び同法39条5項(※現、第7項)によると、生理休暇は、同法65条所定の産前産後の休業と異なり、平均賃金の計算や年次有給休暇の基礎となる出勤日の算定について特別の扱いを受けるものとはされておらず、これらの規定に徴すると、同法67条は、使用者に対し生理休暇取得日を出勤扱いにすることまでも義務付けるものではなく、これを出勤扱いにするか欠勤扱いにするかは原則として労使間の合意に委ねられているものと解することができる。

ところで、使用者が、労働協約又は労働者との合意により、労働者が生理休暇を取得しそれが欠勤扱いとされることによって何らかの形で経済的益得られない結果となるような措置ないし制度を設けたときには、その内容いかんによっては生理休暇の取得が事実上抑制される場合も起こりうるが、労働基準法67条の上述のような趣旨に照らすと、このような措置ないし制度は、その趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度、生理休暇の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、生理休暇の取得を著しく困難とし、同法が女子労働者の保護を目的として生理休暇について特に規定を設けた趣旨を失わせるものと認められるのでない限り、これを同条に違反するものとすることはできないというべきである。

生理休暇の変更

生理休暇の取扱の不利益変更に対し、最高裁は次のような判断を示しています。

ニプロ医工事件 前橋地裁 平成15.10.24

賞与の算定において生理休暇取得日数を欠勤控除するよう、賃金規定を変更した。少数派組合が一方的不利益変更だと訴えた。

裁判所は原告の請求を認め、原告らに対し賃金規定の変更は適用できないとした。また、生理休暇そのものも取りづらい状況になり、この不利益も軽視できない、とした。

タケダシステムズ事件 東京高裁(差戻し)昭和62.2.26 最高裁 昭和58.11.25

生理休暇当日の基本給を32%減額し、かつ1ヶ月につき2日を超える生理休暇については当日の基本給を100%減額しゼロとするという就業規則の改正に係る案件。

高裁判決は、長期的に実質賃金の低下を生じるものであり、労働組合の同意がない一方的変更は効力がないとした。

これに対し最高裁は、有給の生理休暇について取得の濫用があり、「本件就業規則の変更が不利益なものであるとしても、右変更が合理的なものであれば、これに同意しないことを理由として、その適用を拒むことは許されない」と判断し、高裁判決を破棄している。

差戻しにより、高裁も就業規則の変更は必要だったと判断した。

罰則

労働者が生理休暇を請求した場合、使用者がこれを取得させなかったときは、労基法第120条1号により30万円以下の罰金に処せられます。


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