有期雇用の場合

有期雇用者でも対象になる場合がある

有期雇用者であっても、一定の条件を満たす場合は、育児休業を取得できるようにするため、 法律改正(平成16.12.8公布、平成17.4.1施行)されました。

一定の条件とは

次の条件のいずれにも該当することが必要です。

(1) 同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
(2) 子が1歳に達する日(誕生日の前日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(子が1歳に達する日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)

労働契約の更新可能性について、書面・口頭で明示された内容から判断します。

明示がないときは、雇用の継続の見込みに関する事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況、当該労働者の過去の契約の更新状況等の実態を見て判断されます。

また、上表(2)の条件(「1歳到達日を超えて引き続き雇用されることが見込まれる」)の場合であっても、子が2歳に達する日までに労働契約期間が満了し、かつ更新されないことが申出時点において既に明らかである者は除かれます。

※育児休業終了後、すぐに退職しようという人は除外する

なお、形式上期間を定めて雇用される労働者であっても、実質的に期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児・介護休業の対象者となるとしています。(育児・介護休業法指針第2の1)


判断基準

判断基準

育児休業が認められる事例

(1)契約期間が3年間で、1年超直後の時点で育児休業を取得した場合。子供が1歳になった時も、当初の契約期間中です。

育児休業が認められる事例1

(2)書面又は口頭で労働契約の更新可能性が明示されており、申出時点で締結している契約と同一の長さで契約が更新されたならば、その更新後の労働契約の期間の末日が子の1歳到達日後の場合

例えば、1年契約を更新し、2年目に入った後に育児休業の申出があり、契約内容にはさらなる更新可能性の明示があった場合。育児休業終了時点で、契約は更新されていたはずだと推定されます。

育児休業が認められる事例2

※雇用更新についての明示とは

書面または口頭で、労働契約の更新可能性が明示されているとは、例えば「契約を更新する場合がある」「業績が良ければ更新する」「更新については会社の業績に応じ、契約終了時に判断する」などの記載がある場合をいいます。

有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準

(平成15年厚生労働省告示第357号)(平成20年一部改正)

(契約締結時の明示事項等)

第1条  使用者は、期間の定めのある労働契約(以下「有期労働契約」という。)の締結に際し、労働者に対して、当該契約の期間の満了後における当該契約に係る更新の有無を明示しなければならない。

2 前項の場合において、使用者が当該契約を更新する場合がある旨明示したときは、使用者は、労働者に対して当該契約を更新する場合又はしない場合の判断の基準を明示しなければならない。

3 使用者は、有期労働契約の締結後に前2項に規定する事項に関して変更する場合には、当該契約を締結した労働者に対して、速やかにその内容を明示しなければならない。

(3)契約書面の中に自動更新規定があり

更新回数の上限が明示されていない、又は、更新回数の上限が明示されているが、その上限まで契約が更新された場合の労働契約の期間の末日が子の1歳到達日後の場合

育児休業が認められる事例3

引き続き雇用されるとは認められない場合

(1)書面または口頭で更新回数の上限が明示されている場合で、その上限が来ても、子が1歳に到達しない場合

(2)書面又は口頭で更新しない旨の明示があり、その期限が子の1歳到達時より前である場合

(3)更新可能性が書面等に示されているが、自働更新規定がなく、その更新終了時点においてもなお、子が1歳に到達しない場合


有期雇用が形骸化しているか否かの判断

上記の条件があたらない場合であっても、有期雇用が形骸化しており、事実上、「期間の定めのない」雇用契約と異ならなくなっている場合は、育児休業の対象となります。

有期雇用か否かの判断にあたっては、判例等を踏まえ以下の点を考慮しながら判断することとなっています。

(1) 業務の客観的内容(業務内容の恒常性・臨時性等)
恒常性:当該の業務が定まっていて変わらないことです。例えば、情報処理産業におけるプログラミング業務のように、仕事の内容が固定されているものが考えられます。
(2) 契約上の地位の性格(地位の基幹性・臨時性等)
基幹性(雇用状態や業務内容が正社員と異ならない)
←→臨時性(いわゆる嘱託や非常勤講師、アルバイトなど)
(3) 当事者の主観的態様(雇用継続を期待させる事業主の言動等)
例えば、労働者の長期にわたって働きたいとの希望に応じるような趣旨をほのめかしたりすることです。
(4) 更新の手続・実態(更新回数・手続きの厳格性の程度等)
更新の手続きについては、契約更新後に契約書を取り交わしていたり、郵送によって機械的に手続きを行っていたりした場合がこれに当たります。
(5) 他の労働者の更新状況(同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等)

こうした判断基準から、業務内容が実質的に正社員と同じであり、契約更新も形式的に行われ、大半の有期雇用者が更新されているような実態があれば、その雇用者は「期間の定めのない契約」と異ならないと認められる可能性が高くなります。

日欧産業協力センター事件 東京高裁 平成17.1.26 東京地裁 平成15.10.31

1年間の雇用契約(自動更新)を締結し、6年間勤務してきた英国人女性に対する育児休業の適用問題。

1回目のみ有期雇用契約が締結されていたが、その後は契約書が作成されないまま雇用が続いていた。

会社は労働者に対し、(1)育児・介護休業法の適用がないこと、(2)雇用契約については期間満了後更新しない、と回答。

労働者は損害賠償請求を求めた。

東京地裁

裁判所は、解雇を無効としたほか、契約を事実上「期間の定めのない」ものと認め、女性を育児・介護休業法の「労働者」に当たるとして、慰謝料50万円の支払いを命じた。

東京地裁は、社団法人「日欧産業協力センター」(東京)との間で、期間1年の雇用契約を6年間繰り返した英国人女性が、有期契約を理由に育児休業の申請を認められず精神的苦痛を受けたとして、600万円の賠償などを求めた訴訟で、慰謝料など50万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

また、この女性は、出勤しながら育児を続けましたが、同7月にリストラを理由に解雇された。判決はこの解雇も無効と。

パートなど有期雇用の労働者を実質的に正社員と同等と見なし、育児休業の権利を認めた司法判断は初めて。

判決の中、伊藤由紀子裁判官は「6年間、書面でも口頭でも更新手続きがなく、実質的には有期契約ではないから、育児休業申請を拒んだのは違法」と指摘している。

東京高裁

地裁判決をおおむね踏襲したが、更新により「期間の定めのない」雇用になっているとの判断を退け、契約の更新期間中は、1年の有期契約が自動更新されていると当方とも了解していたとし、本件を解雇問題ではなく、雇止めについての案件だとした。

そのうえで、この有期雇用契約は、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態になっていたので、原告は育児休業を請求しうる立場にあり、また解雇(雇止め)通告は、育児休業の請求に端を発するものであり、人員削減の必要性が認められず雇止め回避の努力もない、として、解雇(雇止め)無効の一審判断を支持し、その後の賃金・賞与(春・夏・冬)等の支払いを求めた。

ただし、原告が慰謝料認容額を不服とした点については、一審認容額の50万円を限度とした。

なお、原告はその後本国に帰国していたが、これは、会社側が入国管理局に「原告を雇用していない」と回答したことによって、在留期限切れ後の再入国許可等が降りなかったためだとし、引き続き就労可能な状態にあるとした。


雇用更新の可否がはっきりしない

厚生労働省告示第357号(平成16.5.28)によれば、使用者は有期雇用契約締結時に、更新の有無およびその判断基準を明示しなければならない、こととされています。

したがって、まずは契約書の記載内容を確認してください。

契約更新の明示について記載がない場合は、事業主の言動、同様の地位にある他の労働者の状況および当該労働者の過去の更新状況等により判断することになります。


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