労働時間関係の制限

妊産婦に対する制限

変形労働時間制 妊産婦が請求した場合、変形労働時間(1年・1ヶ月・1週間)の適用を受けていても、1日8時間、週40時間労働を超える労働は禁止。
時間外・休日労働 妊産婦が請求した場合には、時間外・休日労働は禁止。
※この請求は口頭でも可能です。部分的請求もできますし、変更もできます。
深夜業 妊産婦が請求した場合には、深夜業は禁止

※その他、妊娠中の女性が請求した場合においては、従前から従事していた業務を、他の軽微な業務に転換させなくてはならないとされています。(労働基準法65条3項

本人が請求すればできる

妊産婦が「請求した場合」には、時間外労働や休日労働、深夜業をさせてはなりません。医師の指導の有無は要件となっていませんので、本人が請求さえすれば、残業等がさせられないことになります。

裏返せば「本人の請求がない場合」は許されるかが、問題となります。

国の解釈によれば、時間外制限の部分請求も可能とされています。

・・・時間外労働若しくは休日労働についてのみの請求、深夜業のみの請求又はそれぞれについての部分的な請求も認められ、使用者はその請求された範囲で妊産婦をこれらに従事させなければ足りるものであること。又、妊産婦の身体等の状況の変化等に伴い、請求内容の変更があった場合にも同様であること

(昭和61.3.20 基発151号、婦発69号)

つまり、妊産婦であるから、一律に時間外制限をするのではなく、柔軟に運用しても差し支えない、ということになります。

また、「本人が残業を請求した場合」は、どうでしょうか。

この場合は、そもそも残業が、「本人の請求」にもとづくものかどうかを考えれば、明らかです。

本人が望んでいたとしても、使用者はそれに応ずる義務はありません。


時間外労働の制限(~小学校就学前)

法改正(平成14.4.1施行)により、小学校就学前の子の養育、または要介護状態にある家族の介護を行う労働者は、1ヶ月あたり24時間、1年あたり150時間を超える時間外労働の免除を請求できることとされています。

請求があった場合、事業主は、上記を超える時間外労働をさせることはできません(育児・介護休業法第17条18条

また、平成22年改正により、3歳までの子を養育する労働者は、請求すれば時間外労働が免除されます。

育児介護休業法 第17条

事業主は、労働基準法第36条第1項本文の規定により同項に規定する労働時間(以下この条において単に「労働時間」という。)を延長することができる場合において、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の各号のいずれにも該当しないものが当該子を養育するために請求したときは、制限時間(1月について24時間、1年について150時間をいう。次項において同じ。)を超えて労働時間を延長してはならない。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りでない。

ただし、次の場合は請求対象から除くことが可能です。

除外対象

(1) 日々雇用される労働者
(2) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
(3) 配偶者が常態として、その子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合
(4) 労働日が週2日以下の労働者
(5) 内縁関係の配偶者が常態として子を養育できる労働者

※(2)以外は、要介護家族を介護する場合も準用する。

請求方法

制限の請求は、1回につき、1ヶ月以上1年以内の期間について、その開始の日及び終了の日を明らかにしたうえで、制限開始予定日の1ヶ月前までに請求することとなっています。

この制限は、子を養育しないことになった場合や、新たな育児休業等が開始した場合等には、労働者の意思にかかわらず終了します。

この制度の請求・利用を理由とした解雇その他不利益な取扱いは禁止されています。

時間外協定との関係

育児・介護休業法に基づく時間外労働の制限は、1ヶ月以上1年以内の期間について個々の労働者がその開始の日と終了の日を明らかにして請求する制度です。

この制限開始日は、その労働者が働く事業所における時間外労働協定で定める一定期間の起算日と、通常、一致しません。

この場合、事業主の労働時間管理が複雑とならないようにするために、例えば「1日を超え3ヶ月以内の期間」が1ヶ月の場合において、育児・解雇休業法に基づく時間外の制限開始日を時間外協定で定める一定期間の起算日と合致するようにして労働者に請求してもらうことが考えられます。

ただし、労働者の意思に反してそのような請求を強制することが許されないことは言うまでもありません。

調整例

(1) 制限開始日を次の一定期間の起算日に合致させるべく、当初の制限開始希望日より遅らせて労働者に請求してもらう方法
(2) 労働者の請求は制限期間日の1ヶ月前までにすることとなっていますが、これにかかわらず、制限開始日を一定期間の起算日に合致させるべく、当初の制限開始希望日より前倒しして取り扱う方法
※ただし、前倒しした制限開始日が、時間外が許されていない育児休業期間中にかかる場合は問題がある。

深夜業の制限(~小学校就学前)

女性の深夜業規制が解消されたことに伴い、育児や家族介護を行う一定範囲の男女労働者を対象として、深夜業を制限する制度が新たに設けられました。(育児・介護休業法第19条)

小学校就学の始期に達するまで(6歳に達する日の属する年度の3月31日まで)の子を養育する男女労働者から請求があった場合は、深夜業(午後10時~午前5時)をさせることができません。(育児介護休業法第19条

この場合の「子」については、育児休業と同様に、実子または養子をいいます。

ただし、次の労働者は原則として深夜業制限の対象とはなりません。

(1) 日々雇用される労働者(※期間を定めて雇用される者は請求できます)
(2) その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
(3) 深夜において、その子の保育ができる同居の家族その他の労働省令で定める者がいる者

1. (3).には、次の3要件のすべてを満たす16歳以上の同居の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)がいる労働者が該当します。

ア.深夜に就業していない、または深夜に就業している日数が月3日以下であること

イ.負傷、疾病、身体上若しくは精神上の障害により、対象家族の介護が困難でないこと

ウ.6週間以内に出産する予定か、または産後8週間を経過していない者でないこと

2. その他合理的な理由があると労働省令で定められている者に該当する者については

ア.1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

イ.所定労働日数の全部が深夜にある労働者

が、あげられます。

この場合、1回の請求は1ヶ月以上、6ヶ月以下の連続した一の期間でなければなりません。

この制限措置を労働者が請求する場合は、希望する制限措置の開始予定日の1ヶ月前までに、事業主に対して、所定の事項を記載した書面を提出しなければなりません。

ただし、請求回数に制限がないので、何度でも繰り返し請求することができます。

「事業の正常な運営を妨げる場合」(下記参照)、この制限は適用されませんが、これは該当事業所における、その労働者の担当業務、その繁閑、代替要員の配置困難等の事情を考慮して客観的に判断することになります。

事業の正常な運営を妨げる場合

「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するか否かは、当該労働者の所属する事業所を基準として、当該労働者の担当する作業の内容、作業の繁閑、代行者の配置の難易等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきものであること。

事業主は、労働者が深夜業の制限を請求した場合においては、当該労働者が請求どおりに深夜業の制限を受けることができるように、通常考えられる相当の努力をすべきものであること。

業務遂行上不可欠な人員について、通常考えられる相当の努力をしたとしてもなお、代替者が確保出来ない場合は、「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するものであること。

(平10.6.11 女発171号)

深夜業については、制限期間中の待遇(昼間勤務への転換の有無を含む)を定め周知する措置を取り、制度の弾力的な運用が可能となるよう配慮するよう求められています(子の養育または家族の介護を行い、または行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針 第2の5)。

なお、深夜業制限の請求は、1ヶ月以上6ヶ月未満の期間について、その開始日・終了日を明らかにした上で、制限開始予定日の1ヶ月前までに申し出ることとなっています。

会社は、この深夜業制限の規定を就業規則などに記載しなければなりません(指針)。


勤務時間の短縮措置(~3歳は義務、~小学校は努力義務)

事業主は、3歳(平成14.4.1施行の法改正により1歳→3歳に引き上げ)までの子を養育する男女労働者に対して、以下のうち少なくとも1つ以上の制度を定め利用させなければなりません。

※3歳以降、小学校就学前は、努力義務として設定されています。

そのうちの1つである、短時間勤務制度(1日6時間)は、設けることが事業主の義務になります。

育児休業が1歳までしかない場合は、育児休業取得後にその他の制度(下記(2)~(6)の1つ以上)を利用できます。

育児休業を最大利用しない場合(例えば6ヶ月までは育児休業を取得し、職場復帰するといった場合)は、その時点以降3歳まで勤務時間短縮措置を利用するということが、可能です。

日々雇用者は対象となりませんが、有期雇用者はすべて対象となります。

労使協定による除外は原則として育児休業制度と同様ですが、申出から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者は利用でき(除外できない)、共働き夫婦は同時に利用することもできます。

また、この措置は、対象の子の年齢が3歳までは義務、3歳以上就学前までが努力義務となっています。

この努力義務を果たそうとする事業主を支援するための「育児両立支援奨励金」の制度があります。

(1) 育児休業の制度に準ずる措置(育児休業の3歳までの延長)
(2) 短時間勤務制度
・1日の所定労働時間を短縮する
所定労働時間が7時間以上の場合、1時間以上の短縮となる制度が望ましく、また、(1)の育児時間とは別制度(女性は両方利用できる)としなければなりません(通達)
・週又は月の所定労働時間を短縮する
・週又は月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務、特定の曜日のみの勤務等の制度)
・労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度
(3) フレックスタイム制
(4) 始業・就業時間の繰上げ、繰下げ
(5) 所定時間外労働をさせない制度
(6) 託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
※ベビーシッターの費用を事業主が負担するなど。

この制度の利用の申出や適用を理由とした不利益な取扱いは禁止されています。


変形労働時間制の制限

事業主は、1歳までの子を養育する女性から請求があった場合は、変形労働時間制が適用されていても、法定労働時間(特例措置の事業所を除き週40時間、1日8時間)を超えて働かせることができません。

「深夜業務免除求めたら給料激減」 JAL乗務員が提訴

「子育てのため深夜業務の免除を求めたら、月に1~2日しか仕事が割り当てられず、給料が激減した」として、日本航空インターナショナルの客室乗務員2人が23日、同社を相手に、本来得られたはずの賃金との差額計約560万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。

訴えたのは、2歳9ヶ月の女児をもつ村中佳美さん(43)と5歳の女児をもつ中井万里子さん(48)。

訴状によると、99年の育児・介護休業法の施行で、同社も深夜業務(午後10時~午前5時)の免除を導入し、申請者には深夜にかからない国内便や韓国などの日帰り便への乗務が認められたが、会社側はその後、深夜業務の内容を変更。

新たな労働協約を結んだ人は03年8月以降、月9日程度、結ばない人は月1~2日しか仕事を与えず、勤務のない日は無給とした。

原告らは労働協約を結んでおらず、70万~90万円あった月給が4万~20万円程度に激減。社会保険料などの徴収で手取りゼロの月もあるという。

同社広報部は「希望者全員が深夜業務の制限適用を受けることができるよう、会社として最大限の努力をしてきた結果であり、提訴は残念だ」とコメントを出した。

(asahi.com 2004.6.23)


産休終了後の制度

産休終了後の制度

時間外労働の制限

法改正(平成14.4.1施行)により、小学校就学前の子の養育、または要介護状態にある家族の介護を行う労働者は、1ヶ月あたり24時間、1年あたり150時間を超える時間外労働の免除を請求できることとされています。

ただし、次の場合は請求対象から除くことが可能です。

除外対象

(1) 日々雇用される労働者
(2) 当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
(3) 配偶者が常態として、その子を養育することができるものとして厚生労働省令で定める基準に該当する場合
(4) 労働日が週2日以下の労働者
(5) 内縁関係の配偶者が常態として子を養育できる労働者

※(2)以外は、要介護家族を介護する場合も準用します。

請求方法

制限の請求は、1回につき、1ヶ月以上1年以内の期間について、その開始の日および終了の日を明らかにしたうえで、制限開始予定日の1ヶ月前までに請求することとなっています。


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