原職復帰


育児休業・介護休業は、雇用契約を変更することなく休業する権利ですから、職場復帰後も職務や勤務場所に変更はないのが原則です。

合理的な理由がない限り、原職以外への配置転換は行うべきでなく、やむを得ない理由で配置転換する場合でも、それは休業した労働者にとって不利益な取り扱いになるものであってはなりません。

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律

(雇用管理等に関する措置)

第22条 

事業主は、育児休業申出及び介護休業申出並びに育児休業及び介護休業後における就業が円滑に行われるようにするため、育児休業又は介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理、育児休業又は介護休業をしている労働者の職業能力の開発及び向上等に関して、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

なお、判例では、次の例もあります。

日本体育会事件 東京地裁 平成16.1.13

専門学校に勤める女性職員が、

(1)自宅近くの勤務場所へ配転合意の不履行

(2)育児休業明けの勤務場所に関する配慮義務違反

(3)昼間勤務のできる自宅近くの勤務場所での勤務期間保障の義務の不履行

(4)養育と両立可能な勤務時間についての配慮義務違反

を主張し、損害賠償請求をした。

裁判所は、配転に関する合意や、約束等の事実が認められないこと、被告がすでに育児短時間勤務制度を導入していることなどから、原告の主張する労働契約上の義務違反は認められないとした。

東洋鋼鈑事件 東京高裁 昭和49.10.28

産休明けの女子職員に対する配転について争われた事案。

当該女子職員の労働能率の低下を予想し、さらに他の従業員と区別して取り扱うことによる職場への影響への対応策を講ずることは当然許されるとして、企業運営上の客観的合理性ないし必要性がないとはいえないとされた。

育児休業取得で中小企業に助成金 初実績に100万円

新たな子育て支援策として厚生労働省は、従業員が100人未満で、これまで育児休業の取得者がいない中小企業に対し、初めての取得者が職場復帰した際に約100万円、2人目には約60万円の助成金を支給する方針を決めた。

手厚い助成金を呼び水に取得者の「前例」を作り、育休の取りやすい職場環境に変えるのが狙い。来年度予算で概算要求し、5年間に限って集中的な支援をする。

昨年末に策定された政府の少子化対策「子ども・子育て応援プラン」は育休の取得目標として女性80%、男性10%を掲げている。

だが、同省の女性雇用管理基本調査(従業員5人以上の約7,800事業所が回答)によると、04年度の育休取得率は女性70.6%(前回02年度は64%)、男性0.56%(同0.33%)。

全体では徐々に高まっているが、事業規模別に女性の取得率をみると、従業員500人以上は83.2%、100~499人は83%と8割超に対し、30~99人は69.5%、5~29人は60.2%と6割台にとどまる。

同省は「中小企業では女性社員が出産を機に辞めるなどして『前例』がないことや、育休社員を抱えることへの負担感が強いためではないか」とみている。

従業員100人未満の事業所は全事業所の97%を占め、全従業員の75%が働いている。この部分への積極的な経済支援策で、取得目標に近づけたいとしている。

支給対象は、就業規則に育児休業の規定を設けた企業で、初の育休取得者と2人目まで。男女を問わず、パート社員にも認める。

半年以上の休業で、職場への復帰後、企業が申請する。

助成金は雇用保険を財源に初年度で数十億円を見込んでいる。

使い道は企業の自由だが、「代替要員の確保や業務を補う社員の残業代などに充ててほしい」としている。また、「1人目」などと偽っての受給がないよう申請内容のチェック方法も検討する。

同省職業家庭両立課では数千社の申請を見込んでいる。

(asahi.com 2005.8.19)

出産と仕事、両立にカベ 厚労省調査

仕事を続けたいのに辞めざるを得なかった女性のうち、結婚を契機に職場環境が働きにくくなったことを離職の理由にあげた割合が3.4%だったのに対し、出産では20.0%と6倍程度にのぼることが、厚生労働省がまとめた「21世紀成年者縦断調査」で分かった。

仕事と出産との両立が難しい環境が少子化の原因の一つと指摘されており、厚労省は「就業規則に育児休業の規定を盛り込むよう徹底したい」などとしている。

調査は、02年10月時点での34歳以下の成人男女が対象。

同じ回答者を追跡調査して、家庭観や仕事観の変化を探り、少子化の原因を分析するのが狙い。今回は03年12月のまとめに続き2回目で、約2万5千人の回答を分析した。

その結果、前回調査で「出産をした後も仕事を続けたい」と答え、この1年間で実際に出産した女性の11.3%が意に反して仕事を辞めていた。

その際の背景として「配偶者や家族が退職を望んでいる」は6.7%だったのに対し、「会社に働き続けにくい雰囲気がある」は2割にのぼった。

(asahi.com 2005.3.12)

IT大手、女性社員への支援拡充-育児休業中も業務情報提供

IT大手企業が相次ぎ女性社員の職場環境改善に乗り出す。

日立製作所は主任層や技術者向けに行っている女性キャリア形成支援活動の対象を、年内に入社3~8年目まで拡大。

また、NTTデータは育児休業明けの職場復帰支援策を10月以降をめどにスタートさせる計画だ。

電通国際情報サービス(ISID)も育児休業中に自社製品の開発に参加できる仕組みを昨年立ち上げるなど、女性の支援に積極的。

各社はこうした取り組みを通じ、女性社員の定着率を高めるとともに、生産性の向上を目指す。

日立は女性社員が管理職を目指すには、若手のうちからキャリア意識を醸成することが重要と判断。従来、管理職に近い層や技術者向けにフォーラムを開いてきたが、新たに3~8年目向けにもセミナーを実施することを決めた。

セミナーは情報・通信グループで女性の定着化や経営参画推進に取り組む「女性カウンシル」が主催。他社の女性役員の講演などに加え、目指すべき将来像を話し合い、カウンセラーとともにキャリア形成プランをつくるといった継続的な研修として位置づける。「自身のキャリアを形成するきっかけづくり」(藤本昌代女性カウンシルリーダー)から女性管理職の育成を目指す。

NTTデータは、男性も含めて育児休暇中の社員に対し、シンクライアント(記憶装置を持たない端末)の配布を10月以降に始める予定。自宅から会社のイントラネットにアクセスできるため、休暇中でも自分の所属部署の業務状況や、同僚の情報などを知ることができる。長期休暇を取らざるを得ない社員の不安をシンクライアントを活用して取り除くことで、スムーズに業務を再開できるようにする仕組みだ。

現場での女性社員の積極活用に乗り出したのがISID。育児休暇中でも自社製品の開発に参加できるほか、休暇明けは育児時間の取りやすい製品サポート業務に移れるようにした。

有能な人材を流出させず、職場環境を変えることで生産性を高める―。IT企業にとってはスキルの高い人材の確保が特に重要となるだけに、今後も独自の"人財活用"が進みそうだ。

(asahi.com 2009.8.3)


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