管理監督者とは

労働基準法上の管理監督者とは

管理職とは、労働基準法などの労働法規上に定義はなく、社内あるいは社会で慣用的に用いられている、会社内の上級職員に対する用語です。

したがって、あなたの会社であなたが問題とする「管理職」が労働法上、通常の労働者とは異なる取り扱いを受けることになるかどうかは、問題の分野に応じて、個別に検討する必要があります。

監督若しくは管理の地位にある者とは、一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態に即して判断すべきものである。

(昭和22.9.13 発基第17号、昭和63.3.14 基発第150号)

まず、はじめにその「管理職」が労働法上の労働者であるかを検討しておく必要があります。

大阪中央労基署(おかざき)事件 大阪地裁 平成15.10.29

中小企業の専務取締役であった者について、「その実態が使用従属関係の下における労務の提供と評価するにふさわしいものであるかによって判断すべきものである」との判断基準から、被災者が専務取締役に就任した後も、その担当する業務は営業であって、その業務に格別変化はなく、他の従業員と同様に、現在の社長から叱責を受けることもあった等の事実認定の下、専務取締役に就任したことをもって直ちに使用従属関係が消滅したということはできない、とし、労働者性を肯定。

朝日放送事件 東京高裁 平成4.9.16 東京地裁 平成2.7.19

団体交渉を求めた下請労働者の労働組合に対する元請会社(朝日放送)の使用者性の認定についての判断。

地裁は、不当労働行為制度の趣旨などに照らした総合的判断から、直接労働者を支配しているのは元請であり、使用者にあたるとした。

これに対し、高裁は、地裁の「使用者」の判断基準を支持しながらも、「雇用契約の有無という形式をはじめから無視してよいことまで意味するものではない」として、「使用者」とするには「特別な事情」がある場合に限定され、このケースはそれに当たらないと判断、原判決を取り消した。

阪神観光事件 最高裁 昭和62.2.26

キャバレー経営者である被告人は、楽団2つに対し、演奏料を支払っていた。演奏料はバンドマスターにまとめて支払われ、その配分や選曲はマスターの裁量にまかされた。

その一方で、店内での禁止事項を示した「心得」が経営者により掲示され、各楽団員の演奏料の源泉徴収も店側で行っていた。

こうした状況下で、1楽団が演奏料引き上げを求め合同労組に加入し、開店前のステージで労働歌を演奏。

これを不満とした経営者が、楽団との請負契約解除を通告した。

バンド側は、団体交渉を求め労働委員会に訴えた。

地方労働委員会、中央労働委員会は、経営者の指揮命令権を認め、不当労働行為に当たる判断したが、経営者はこれを不服として提訴。

東京地裁(昭和54.8.30)、東京高裁(昭和57.8.10)は、経営者は楽団員の時間管理・労務管理を行っておらず、「使用者」の立場にはないと判断し、労働委員会の命令を取り消した。

最高裁の判断

原判決破棄。

楽団員は、経営者の包括的な指揮下で長年に渡り演奏業務に携わっており、演奏料を労務の対価として受け取っていた。その関係は労働組合法7条の使用者に当たる。

楽団員の採用の決定、欠員のやりくり、各人の演奏料の決定、勤務時間管理が楽団自身に任されたとしても、これを左右するものではない。

株式会社では商法によって「取締役」や「監査役」が置かれています。

これらの役員は株主総会で選出され業務執行の決定などに関わります。

会社=使用者との関係は民法の「委任」です。

したがって、これら役員は労働法上の労働者ではないことになり、それ以外は、労働者ということになります。

労働者は、株主総会で選出されるわけではなく、会社に雇用されるからです。


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