労働契約の締結

採用を決定(通知)は労働契約

企業は、従業員を雇い入れる場合、通常、新聞広告、チラシなどを通じて直接、あるいは学校やハロ-ワ-クなどを通じて、募集案内を行い、それに応募してきた求職者に試験、面接による選考を経て採否を決定します。

すなわち企業が従業員の採用を決定(通知)することは、「労働契約」を締結するという法律行為になります。

どういう人を採用しようということについては、法規に違反しない限り企業の自由であるとされています。

三菱樹脂事件 最高裁 昭和48.12.12

憲法は、思想、信条の自由や法の下の平等を保障すると同時に、他方、22条、29条等において、財産権の行使、営業その他広く経済活動の自由をも基本的人権として保障している。

それゆえ、企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇傭するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができるのであって、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒んでも、それを当然に違法とすることはできない。

労働契約とは、労働者が一定の労働条件のもとで使用者の指揮命令を受けて働くことを約束し、他方、使用者はその対価として一定の賃金を支払うことを約束する契約です。

労働契約は、申込みと承諾によって成立し、口頭でも文書でも有効に成立します。

通知そのものがない段階でも、「採用確定の意思の表示」と認められる行為があれば、それによって労働契約の予約の完結の意思表示があったと見なされます。

採用内定者といっても、法律的にみると、「採用予定者(内々定)」と「採用決定者」とに区分されます。


採用内定者

採用予定者 まだ労働契約が成立しておらず、その会社の従業員としての地位を取得していない者。
いわゆる労働契約締結の「予定者」とか「採用内定契約」という特別の契約者といわれている。
(その取り消しは解雇にならない)
採用決定者 労働契約が成立し、その会社の従業員としての地位を取得した者。
ただし、卒業という条件や入社日の到来という始期がついていれば、効力の発生はそれらが成就した時からとなる。
(その取り消しは民法上の解雇になる)

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