労働契約とは

労働契約

労働者が、使用者の指揮命令の下で働いて賃金をもらうという約束を「労働契約」と言います。 労働契約は口約束でも成立しますが、使用者は賃金、労働時間その他の労働条件をはっきりと労働者に示さなければなりません。

そのうち賃金・労働時間・就業場所・業務内容など一定の事項に関する事項については、書面に記載し、労働者に渡さなければならないとされています。 (労働基準法第15条)

労働契約で定められなかった労働条件については、就業規則の内容が適用されます。

給与規定や退職金規定を別に定めている会社もありますが、呼び方に関係なくこれも就業規則の一部です。

就業規則は、労働条件や職場の規律について使用者が定めるもので、常時10人以上の労働者を使用する場合は、必ず作成しなければなりません。(労働基準法第89条

就業規則は使用者が一方的に定めるものですが、その内容が合理的である限り、労働者はこれを守らなければならないとされています。

そこで法は、使用者が就業規則を作成するに当たって、労働者代表の意見を聴き労働基準監督署に届け出ることのほか、これを仕事場の見やすい場所に掲示するなどして、労働者がいつでも見られるようにしなければならないと定めています。(労働基準法第106条

応募や採用の際に提出する書類については、労基法は何も規定していません。契約書や家族調書などは提出の必要があります(名古屋タクシー事件 名古屋地裁 昭和40.6.7)が、人権やプライバシーの保護の観点から、悪用されるおそれのある書類(印鑑証明書や戸籍抄本など)の提出を求めるのは不適切と言えるでしょう。

採用後一定の期間を「試用期間」(「見習い」などと呼ぶこともあります)としている場合があります。

試用期間は、通常、使用者が労働者の資質・能力などの適格性を判断するため、解約権を留保する期間として設けられるものですが、試用期間中でも労働契約はすでに成立しているので、「本採用の拒否」も「解雇」の一種にあたります。

判例上、解雇には合理的な理由が必要とされています。


ページの先頭へ