勤務場所等の限定

入社時の合意と勤務地の限定

求人票・募集広告等における職種・勤務場所の明示の効力

求人票・広告などの職種記載は、当初の職種を示すものであって将来を拘束するものではない。(日本コロンビア事件 東京地裁 昭和50.5.7)

求人広告中の「勤務場所」は、採用後当分の間の場所を示したものにすぎず、勤務地を特定したものではない。(エレクトロラックス・ジャパン事件 東京地裁 昭和60.7.12)

募集広告により勤務居場所が特定されたとみなされる場合。(ブック・ローン事件 神戸地裁 昭和54.7.12)

採用面接時・入社志願書における申告内容の効力

採用面接時における希望職種等の申告は参考資料にすぎず、労働契約内容として特定されたものではない。(三協精機事件 長野地諏訪支部 昭和47.7.3)

入社志願書の「希望勤務地」記載は労働契約上の勤務地特定の申込みではなく、希望地外への転勤命令拒否の根拠とはならない。(東亜ペイント事件 大阪地判 昭和57.10.25)

労働契約書・試用契約書・採用契約書等における記載内容の効力

労働契約書職務欄の「機械工」は、当面の職務を記載したものにすぎない。(山崎産商事件 東京地裁 昭和58.1.27)

入社の際の勤務場所・業務内容の提示は、当面担当する勤務地・職務を特定したものにすぎない。(日機装事件 東京地判 昭和55.12.24)


勤務場所の特定を判断する基準

  • 明示の合意による勤務場所の特定
  • 黙示の合意による勤務場所の特定

就労場所地へ直接採用を申し入れ、採用時に就労場所の説明がない場合には勤務地が特定されます。(品川工業事件 大阪地裁 昭和53.3.17)


採用直後の研修などで勤務場所を特定できないとき

労基法は、採用直後の就業場所と従事業務の明示を求めているのですから、例えば「本社人事部」「○○研修センター」などと明示し、従事する業務については、例えば「営業業務(研修)」「工場事務(研修)」などと明示することになります。


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