内々定とは

内々定の法的性格

正式な内定通知に先立って「内定と理解して(考えて)もらってよい」「採用の予約をさせてほしい」などと直接的ではなく遠回しな表現で、暗に採用の内意を口頭で伝える場合があります。

それは「内々定」と呼ばれ、労働契約締結の申し込みに対する承諾の通知である採用内定通知とは異なり、別途正式な採用内定手続きが後日行われることの通知であるといわれています。

内定開始日に正式に「採用内定」を通知するという慣行ができているのです。

具体的には、入社誓約書の提出、始業日付入りの採用通知書、研修の参加、といった事実があれば、採用決定としての「内定」があったとして、これがあれば、始期付き、解約権留保付きの使用労働契約が会社と内定者との間に成立し、その後は、会社からの「内定」の取り消しは労働契約の解約と同視されることになると考えられます。

学生は数社から「内々定」を得た後、内定開始日までに一社を選択し、採用内定関係に入ります。

内々定の法的性質については議論がありますが、「内々定」は未だ承諾の意思表示であるということはできず労働契約が成立しているとは解せないとされています。

そうすると、「内々定」の取り消し通知は、労働契約そのものの解除ではないことになりますので、解雇ではないことになります。

ただし、労働契約の拘束関係の度合いによっては「採用内定」や「採用内定の予約」として認められる場合もあると考えられます。

この場合、恣意的な破棄については、その損害の賠償を追及される可能性があります。

東京育英学園、中央育英学園事件 東京地裁 平成15.9.30

専任講師として採用されたとする原告らと両学園との間の法律関係は、いまだ給与額についての合意までは形成されていない段階であること、しかも雇用契約については、被告総括事務局長から学生が集まらないと開講時期が遅れるとの告知を受けていたことを前提とすれば、原告らの期待権を法的に保護すべきものであるとまではいえず、地位確認および未払賃金請求には理由がない。


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