兼業禁止の対策

兼業の予防策

このようなトラブルを避けるためには、何よりも社員が兼業など必要のない労働条件の整備・充実が必要となります。

次善の策としては、就業規則を置くことだけにとどめず、その趣旨を研修等を通じて徹底するなど、普段から社員の社外の行動に対してもプライバシーを侵害しない範囲で注意しておく以外にはないでしょう。

特に、クレジットカード漬けなどから、他社兼業へののめり込みの事態を注意しなければなりません。


兼業の許可制・届出制

許可もしくは届け出を前提として兼業を認めるという方法により、業務への支障を判断するという方法もあります。

企業の半数が副業禁止・独立行政法人調査、95年より増加

正社員が会社の業務以外の副業を持つことについて、過労や情報漏えいの防止などを理由に禁止する企業が50.4%に上り、1995年の前回調査(38.6%)に比べて制限する傾向が強まっていることが1日、独立行政法人、労働政策研究・研修機構(東京都練馬区)の調査で分かった。

賃金が抑制され終身雇用が崩壊する中、副業で収入不足を補ったり、転職を準備したりする社員にとって厳しい情勢といえる。

厚生労働省は、2007年通常国会での法案提出を目指している労働契約法で副業の禁止規定を原則無効とする方針だが、ルールづくりにも影響を与えそうだ。

調査結果によると、副業を禁止せず従業員に判断を任せているのは16.0%(前回調査18.0%)、許可制は28.5%(同37.1%)と、副業を認める企業は減った。

背景には「社員の副業にメリットを感じない」が78.5%に上り、デメリットとして「疲労による業務効率の低下」(90.5%)、「残業や休日出勤を命じられない」(49.7%)などを挙げ、情報漏えいを心配する意見も34.9%あった。

(NIKKEI-NET 2005.10.1)

大手メーカー、副業容認相次ぐ 減産の中「例外的措置」

大手製造業を中心に、社員の副業を認める企業が相次いでいる。不況で働く時間が短くなり、減った給料分を社員がよそで補えるようにするためだ。「本業に支障が出る」と原則禁止してきた企業は「例外的な措置」と強調するが、「こうした動きは広がる」と専門家はみている。

東芝は、約1万6,700人に副業を認めることにした。2~3月に一時帰休を実施する四日市工場(三重県四日市市)や大分工場(大分市)、深谷工場(埼玉県深谷市)といった半導体や液晶の製造工場と本支社の関連部署が対象だ。09年3月期の純損益は2,800億円の赤字を見込んでいる。

33万台を減産する見通しの三菱自動車では、岡山県倉敷市の水島製作所の従業員約40人が1月から副業を始めている。この製作所の広報担当者によると、減産方針が示された昨年末以降、従業員から「副業は可能か」という問い合わせが相次いだ。生産ラインが止まる日が増え、給料が減るので住宅ローンの返済や子どもの学費の支払いに不安を持ったのが理由だった。製作所独自で、「やむを得ないケース」と判断し、約60人に副業を認めたという。

同社は「あくまでも副業は原則禁止」という立場で、今後も副業を認めるかどうかを検討している。

09年3月期の連結業績が200億円の純損失となる見通しの富士通。半導体を製造する子会社の4工場で、生産調整が始まった1月から、上司の承認があれば副業を認めることにした。対象は計5,450人。

各工場の1日の勤務シフトを4班2交代から6班3交代に変えたことで、1人あたりの労働時間は単純計算で3分の2に減ったという。富士通広報室の担当者は「例外的な措置」と話し、申請した人はわずかという。

副業解禁について、日本商工会議所の岡村正会頭(東芝会長)は2月5日の定例会見で「変則的だが緊急避難型のワークシェアリングのひとつ」という考えを示した。さらに、「製造業のほかでも厳しい状況は同じ」とも話し、副業解禁が広がる可能性があると指摘した。

連合雇用法制対策局は「雇用調整の方法として個別労使で協議して決めたもので、あくまで例外的な取り扱いと受け止めている」と説明、現状を静観する考えだ。

(asahi.com 2009.2.15)

日産が副業を容認

日産自動車は5日、今月から、減産のため賃金カットを伴う休業日を設けている国内工場などの正社員に対し、副業を容認することを決めた。通常は原則禁止しているが、休業日の賃金を最大2割カットしていることによる収入の目減りを補う狙い。

副業容認は東芝や富士通子会社など電機業界では広がりつつあるが、労使合意のもとでの容認は自動車業界では初めて。今後も同様の動きが広がる可能性がある。

(NIKKEI NET 2009.3.6)


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