労災保険料・メリット制

労災保険料の種類

事業形態により5種類に分類されます。

(1) 一般保険料 労働者に支払う賃金の総額を基礎にして算定する通常の保険料
(2) 第1種特別加入保険料 労災保険の中小事業主の特別加入者についての保険料
(3) 第2種特別加入保険料 労災保険の一人親方等の特別加入者についての保険料
(4) 第3種特別加入保険料 労災保険の海外派遣者等の特別加入者についての保険料
保険料率 1000分の3 (2016.4.1現在)
(5) 印紙保険料 雇用保険の日雇労働被保険者についての雇用保険印紙による保険料

労働保険料の計算

労働保険料のうち、一般保険料の計算方法は次のとおりです。

ア 労働保険と雇用保険の保険関係が成立している事業
賃金総額×(労災保険率※+雇用保険率)

イ 労災保険だけの保険関係が成立している事業
賃金総額×労災保険率※

関連事項:労働保険の取り扱い

※労災保険率は業種によって違う

労災保険率は、その事業所が行う事業の種類により、2.5/1000から、89/1000まで分かれています。

労働保険の保険料は、全額が事業主負担となります。


労災保険料率表(平成28年4月1日改定)

事業の種類の分類 事業の種類 労災保険率
林業 林業 60/1000
漁業 海面漁業(定置網漁業又は海面魚類養殖業を除く) 19/1000
定置網漁業又は海面魚類養殖業 38/1000
鉱業 金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く)又は石炭鉱業 88/1000
石灰石鉱業又はドロマイト鉱業 20/1000
原油又は天然ガス鉱業 3/1000
採石業 52/1000
その他の鉱業 26/1000
建設事業 水力発電施設、ずい道等新設事業 79/1000
道路新設事業 11/1000
舗装工事業 9/1000
鉄道又は軌道新設事業 9.5/1000
建築事業(既設建築物設備工事業を除く) 11/1000
既設建築物設備工事業 15/1000
機械装置の組立て又は据付けの事業 6.5/1000
その他の建設事業 17/1000
製造業 食料品製造業 6/1000
繊維工業又は繊維製品製造業 4.5/1000
木材又は木製品製造業 14/1000
パルプ又は紙製造業 7/1000
印刷又は製本業 3.5/1000
化学工業 4.5/1000
ガラス又はセメント製造業 5.5/1000
コンクリート製造業 13/1000
陶磁器製品製造業 19/1000
その他の窯業又は土石製品製造業 26/1000
金属精錬業(非鉄金属精錬業を除く) 7/1000
非鉄金属精錬業 6.5/1000
金属材料品製造業(鋳物業を除く。) 5.5/1000
鋳物業 18/1000
金属製品製造業又は金属加工業(洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業及びめっき業を除く) 10/1000
洋食器、刃物、手工具又は一般金物製造業(めっき業を除く) 6.5/1000
めっき業 7/1000
機械器具製造業(電気機械器具製造業、輸送用機械器具製造業、船舶製造又は修理業及び計量器、光学機械、時計等製造業を除く) 5.5/1000
電気機械器具製造業 3/1000
輸送用機械器具製造業(船舶製造又は修理業を除く) 4/1000
船舶製造又は修理業 23/1000
計量器、光学機械、時計等製造業(電気機械器具製造業を除く) 2.5/1000
貴金属製品、装身具、皮革製品等製造業 3.5/1000
その他の製造業 6.5/1000
運輸業 交通運輸事業 4.5/1000
貨物取扱事業(港湾貨物取扱事業及び港湾荷役業を除く) 9/1000
港湾貨物取扱事業(港湾荷役業を除く) 9/1000
港湾荷役業 13/1000
電気、ガス、水道又は熱供給の事業 電気、ガス、水道又は熱供給の事業 3/1000
その他の事業 農業又は海面漁業以外の漁業 13/1000
清掃、火葬又はと畜の事業 12/1000
ビルメンテナンス業 5.5/1000
倉庫業、警備業、消毒又は害虫駆除の事業又はゴルフ場の事業 7/1000
通信業、放送業、新聞業又は出版業 2.5/1000
卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業 3.5/1000
金融業、保険業又は不動産業 2.5/1000
その他の各種事業 3/1000
船舶所有者の事業 船舶所有者の事業 50/1000

保険料率は、事業内容を同じくする事業集団における過去3年間の業務災害、通勤災害の発生率を基礎として決定されます。


通勤災害の保険料率

通勤災害に係る保険料率については全業種一律に1000分の0.6と定め、実際の保険料率の中には、これらが含まれた料率となっています(平成28年4月1日現在)。


労働保険料の徴収

労働保険料(雇用保険と労災保険)事業の効率的な運用を図るため、「労働保険の保険料の徴収に関する法律」により、雇用保険と労災保険の保険料は、原則として「労働保険料」として一本的に取り扱われています。

原則として、賃金総額の見込額(見込額が前年の賃金総額の50/100~200/100であるときは前年の賃金総額)に一般保険料を乗じて得た額(概算保険料)を、翌年度の6月1日から40日以内(7月10日まで)に、申告・納付します。

保険年度が終了したときは、翌年度の6月1日から40日以内(7月10日まで)に申告して、過不足を調整します。

特別加入保険料の納付

第1種:労働保険事務組合に保険料を納付します。

第2種:加入者の構成する団体が事業主となって納付します。

第3種:派遣者の団体または事業主が、通常の申告書とは別に書類等を作成し、納付します。

印紙保険料の納付

雇用保険の日雇労働被保険者の印紙保険料は、事業主が日雇労働被保険者手帳に雇用保険の印紙を貼付し、消印することによって納付します。


労災保険のメリット制とは

労災保険のメリット制とは、個々の事業における労働災害の多寡により労災保険率を増減させる制度です(労働保険の保険料の徴収等に関する法律12条3項)。

つまり、大きな労働災害を発生させたとか労働災害が多発している事業では労災保険率が高くなり、逆に労働災害が少ない事業では労災保険率が低くなる制度です。

これにより、労働保険の保険料が最高40%(立木の伐採の事業については35%)上昇する可能性があります。労災がなければ、最大40%(立木の伐採の事業については35%)の減少になります。

なお、通勤災害の場合は、メリット制と関係しません。

メリット制の適用になる対象事業場

事業の継続性と事業の規模に関する要件を同時に満たしている場合に対象となります。

事業の継続性 連続する3保険年度中の最後の保険年度に属する3月31日現在において、労災保険にかかる労働保険の保険関係が成立した後3年以上経過していること。
事業の規模

次のいずれかを満たしていること。

  1. 100人以上の労働者を使用する事業であること。
  2. 20人以上100人未満の労働者を使用する事業であって、当該労働者の数に当該事業に係る基準となる労災保険率から非業務災害にかかる率を減じた率を乗じて得た数(災害度係数)が0.4以上の事業であること。
    災害度係数=労働者数×(労災保険率-非業務災害率)≧0.4
  3. 一括有期事業(建設または立木の伐採事業)の場合、確定保険料の額が40万円以上である事業。

メリット労災保険率の算定方法

メリット労災保険率=(労災保険率-非業務災害率)×(100+メリット増減率)/100+非業務災害率

労災保険率決定通知書

労働保険料の年度更新申告書とともに「労災保険率決定通知書」を事業主に送付しています。こちらは翌年度のメリット労災保険率について厚生労働大臣が決定し、継続メリット制適用事業場へ通知するものです。

メリット制で増減された労災保険率、メリット収支率、メリット増減率等が記載されています。内容をご確認下さい。


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