特別加入・労働保険事務組合

特別加入は、一人親方などのための制度

特別加入制度は、労働基準法上では労働者とされない人たちのためにあります。

加入するかしないかは、任意です。

特別加入制度の対象となるのは、例えば、大工・左官等の建設業の一人親方や、中小企業の事業主(従業員300人以下、卸売・サービス業100人以下、金融・保険・不動産・小売業50人以下)の中で、一般の労働者同様に業務災害に遭遇する危険にさらされている人です。

特別加入制度の対象となる方は、下記の4種類となります。

中小事業主等の特別加入

中小事業主等とは、労働者を常時使用する事業主および、労働者以外で当該事業に従事する方(業務執行権を有する役員、家族従事者など)をいいます。

(1) 300人(金融業、保険業、不動産業、小売業の場合50人、卸売業、サービス業の場合100人)以下の労働者を使用する事業主およびその家族従事者
(2) 法人その他の団体の役員であるときは代者以外の役員のうち労働者でないもの

一人親方等の特別加入

一人親方等とは、労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする方、その他の自営業者およびその事業に従事する方をいいます。

業種としては次のものが該当します。

(1) 自動車を使用して行う旅客または貨物運送の事業
(2) 建設業(大工、左官、とび、石工など)
(3) 漁船による水産動植物の採捕の事業
(4) 林業
(5) 医薬品の配置販売
(6) 再生利用を目的とした古紙、古繊維、金属くず、ガラスくず、空容器等の回収、運搬、選別、解体、集荷等の事業

特定作業従事者の特別加入

特定作業従事者とは、次の6種類の作業に従事する方のことをいいます。

  1. 特定農作業
  2. 指定農業機械作業
  3. 国または地方公共団体が実施する職業適応訓練等
  4. 家内労働者およびその補助者が行う危険有害作業
  5. 労働組合等の常勤役員が行う当該労働組合等の活動にかかる一定の作業
  6. 介護関係業務

海外派遣者の特別加入

海外派遣者とは、日本国内で行われる(有期事業を除く)事業から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等海外で行われる事業に従事する労働者のことをいいます。


特別加入によって支給されるもの

特別加入によって支給される保険給付は、基本的に、一般加入の保険給付と同様です。

ただし、賞与を基に算定される傷病特別年金、障害特別年金、障害特別一時金、遺族特別年金、遺族特別一時金は支給されません。


特別加入の申込制度

項目 中小企業事業主等特別加入制度 一人親方等特別加入制度
特別加入の範囲 中小事業主とは、常時300人(金融業、保険業、不動産業、小売の場合50人、卸売業、サービス業の場合100人)以下の労働者を使用する事業主および労働者以外で当該事業に従事する者をいいます。 労働者を使用しないで事業を行うことを常態とする一人親方、その他の自営業者およびその事業に従事する者をいいます。
加入要件 (1)雇用する労働者について労働保険関係が成立していること
(2)労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
一人親方等の団体を単位として特別加入すること
特別加入方法および申請用紙 (1)労災保険特別加入資料
(2)特別加入申請書
(3)労働保険事務委託書
(4)保険関係成立届(事務処理委託届)
(5)特別加入予定者の氏名
(1)労災保険特別加入資料
(2)一人親方特別加入申込書
(3)誓約書(労働安全生成法等遵守)
(4)念書(加入・脱退処理方法)
給付基礎日額(労災保険の給付額を算定する基礎) 25,000円、24,000円、22,000円、20,000円、18,000円、16,000円、14,000円、12,000円、10,000円、9,000円、8,000円、7,000円、6,000円、5,000円、4,000円、3,500円 25,000円、24,000円、22,000円、20,000円、18,000円、16,000円、14,000円、12,000円、10,000円、9,000円、8,000円、7,000円、6,000円、5,000円、4,000円、3,500円
保険料算定基礎額 基礎給付日額×365を乗じたもの(千円未満は切り捨て) 給付基礎日額×365を乗じたもの(千円未満は切り捨て)
保険料 保険料算定基礎額×それぞれの事業に定められた保険料率(第一種特別加入保険料率) 保険料算定基礎額×それぞれの事業に定められた保険料率(第二種特別加入保険料率)
保険期間 毎年4/1~3/31
(毎年年度更新手続・継続)
毎年4/1~3/31
(毎年年度更新手続・継続)

労働保険事務組合には、効率化のために委託する

労災保険の事務処理の簡素化を図るため、労働保険事務組合に保険料の納付事務等を委託することができます。

委託先は事業協同組合や事業主団体等です。

委託できるのは、原則として常時300人以下(金融・保険・不動産・小売業は50人以下、卸売・サービス業は100人以下)の労働者を使用する事業主です。(徴収法施行規則第58条)


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